23話 ページ23
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「飴どうぞ」
隣に腰掛けた七海さんは、私に飴を差し出す。
「私、もう子どもじゃないですよ」
「子どもじゃなくても、貴女は私の後輩です」
“後輩”という肩書きが私の心に刺さる。その単語は、私にとって地雷だ。
「昨日、私たち会いました...よね?」
「ええ。」
「分かってると思うんですけど、私、七海さんのこと好きだったんです。だから、勘違いするので甘やかさないでください」
我ながら棘のある言い方だと思う。でも、後輩として可愛がられたら、また勘違いしてしまう。同じ過ちはしない。
「.....覚えているなら、私の気持ちも知ってますよね」
首を傾げれば、視線を上げた七海さんと目があった。
「『私も好き
「……嘘だ」
「嘘じゃないです」
身体がカッと熱くなり、心臓が暴れる。胸元を握りしめても、治まらない。
「貴女の喜ぶ顔が見たくて、懐いて欲しくて、私は“餌付け”という汚い手段を使ったんです」
「私に好意がないのなら、好きになってもらえるまで、私はこの先も飴を送り続けます」と、また視線を足元に落とした。
「私は……今でも、七海さんが好きです」
「良かった」
七海さんは穏やかな笑みを浮かべると、私の涙がスーツにつくのも構わず、自らの胸元に引き込んだ。その温かさに、
「Aさん、息をしっかり吐いて。過呼吸になります」
七海さんの指が、空気を求めて半開きの唇に触れる。口の中に飴がコロンッと入ってきた。
「Aさん、見てください」
「.....私、“あたり”なんて久々に見ました」
「休憩時間に引き換えに行きましょう」
数年越しに実った恋。
その喜びを噛みしめて、七海さんの広い背中に手を回した____。
ラッキーアイテム
メダカ
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すず(プロフ) - 森さん» うわぁぁ!!本当ですか⁉駄菓子屋の回し者では無いですが、嬉しいです!あのお菓子、美味しいですよね✨ (2022年4月27日 7時) (レス) id: 554f25270f (このIDを非表示/違反報告)
森 - 2コメ目失礼します❗私、これが好きで駄菓子屋行って飴とガム付いてるお菓子買ってきました!美味しかったです❗(?) (2022年4月27日 0時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 森さん» コメントありがとうございます!イケメンに餌付けされるなんて本望ですよね。秒で飼い慣らされる自信があります笑 (2022年2月25日 6時) (レス) id: 3f5a9a1159 (このIDを非表示/違反報告)
森 - ナナミンに餌付けされるなら本望でs(( (2022年2月25日 0時) (レス) @page2 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - おふさん» おふさん!!こっちも見てくれたんですか!?嬉しすぎます、ありがとうございます!! (2022年2月8日 22時) (レス) id: 6a8f9b8946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すず | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/chirin_rin_rin
作成日時:2021年4月23日 18時