聴こえない私と狗巻先輩【完結】

3個 ページ3

．


見慣れないところにいた。白いベットと、消毒液の匂いがするから、保健室のような所だろうか。




肩を叩かれて、目隠しをした男性がいることに気付いた。







“初めまして。体調どう？”







差し出された、ホワイトボードに“元気です”と書いて、また渡す。




なぜか笑いだした男性は、私に向かって親指を立てた。







“僕は五条悟。君は？”




“夏宮(なつみや)A です”




“単刀直入に言うね。君、呪われてるよ”







呪い？何を言ってるんだこの人は。目隠ししてるし、何が可笑しいのか笑ってるし、怪しい。まさか、これも夢なのか。




と、考えていると、また腹を抱えて笑いだした。







呪いとは何か。
彼は何をしている人か。
今、私は何処にいるのか。





先生は面倒臭いだろうに、私と筆談してくれた。丁寧に、時間を懸けて、理解するまで繰り返し。




変な人だと思っていたが、意外と良い人なのかもしれない。今までこんな大人には出逢ったことがないから、よく分からないが。






“君には暫く此処で生活してもらう。”




“わかりました。お世話になります。”




“嫌じゃないの？”




“家でも殆ど一人なので”








先生はホワイトボードをもって固まった。それは一瞬の出来事で、頬を叩いたかと思えば笑ってホワイトボードを差し出された。





“君に会いたがってる生徒がいる”







頷けば、嬉しそうに出ていった。

4個→←2個

ラッキーアイテム

こんぶ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す