胃袋掴んでしまいまして

小さじ25 ページ25

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懐かしい記憶を見ていた気がする。見慣れない天井に体を起こせば、額からタオルが落ちた。






「起きたか。飲め。」









いつもと違うジャージを着てる冨岡先生。スポーツドリンクにストローを通して私に持たせる。いつも持ってるペットボトルが物凄く重く感じた。









「意識失ったAを担いで、まだ下にいたタクシーに戻った。」









「動けるなら着替えろ」と棚を漁る彼。どうやらここは冨岡先生の自宅のようだ。







「あの、ご迷惑おかけしました」





「気にしてない。」






「母親が言ったことは嘘じゃないです」









「嫌いになっても私は構いませんよ」そう言いながら、涙がポロリと溢れた。









「気にしてないと言ってるだろ！？」









オロオロしながら私の近くに来た彼は、「熱上がったか！？」とおでこを合わせ、「よくわからない」と離れた。









「お前も知ってるだろ。俺は、しつこい男だ。そんなことで、嫌いになるものか。」









苦しいくらいに抱きしめられる。前にも感じたような温かみ。今度は口から感情が溢れた。









「私、冨岡先生のこと好きなんです」







「知ってた」







「やっと、言ったか。」と言う彼は、きっとムフフっと笑っているのだろう。









彼の胸で頭を撫でられながら号泣している私に、彼の表情は見えなかった。

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