十四粒 ページ14
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「オイ、立てるかァ?」
顔をあげれば、縁側から私のことを呼んでいる。
「草履と足袋脱いで上がれ。そしたら風呂入ってこいィ。」
肩に掛けていた手拭いを私に差し出して、どこかへ歩いていった。
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滲みる掌に声にならない悲鳴を上げながら風呂を済ました。
家主に会うために広い屋敷を歩く。
何処からか、トントントンと軽やかな音がした。
台所を覗けば、料理をしてる不死川さん。
「出たかァ。飯作ってるから待っとけェ。」
私の気配に気づいたようで、振り返らずに言った。
「(私も手伝います)」
「一人で十分だァ。」
「(でも、)」
「邪魔だァ。」
何の役にも立てなくて申し訳ない。
それに、ひとりの時間を与えられても困るのだ。
せめてもの抵抗で、少し離れたところから膝を抱えて座り込んだ。
「..........その手じゃ痛ェだろうがァ。」
気づかれていた。
包丁を置いた不死川さんは、「しっかり拭けェ。水滴ってんだろうがァ。」と私の頭に見かけだけの拳骨をした。
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不死川さんは私の両手に包帯を巻いていく。
「鬼殺隊の人間は、鬼に大切な人を殺された奴がほとんどだァ。もし、お前が家族の仇を討ちてェなら俺が強くしてやるァ。」
家族を殺した鬼は憎い。
でも、鬼も腹を空かせていたのだ。
私が生き物を食べるように、鬼も命を繋ぐために食べた。
そう思うと、嫌悪感が薄れてしまう。
こんな意志の弱い奴が
人を守れるだうか──────。
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すず(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» コメント・評価ありがとうございます!モチベ上がりまくりです!これからもお付き合いください! (2020年8月11日 22時) (レス) id: 32f4d66fed (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - 素晴らしい作品をありがとうございます!最高!眼福です!評価が一回しかできないのが辛い… (2020年8月10日 16時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 玲華@パピコ同盟さん» ありがとうございます!お陰様で殿堂入り果たしました!! (2020年7月31日 0時) (レス) id: cbf19fa8a4 (このIDを非表示/違反報告)
玲華@パピコ同盟(プロフ) - 高評価100票目は!もらいました!!← (2020年7月29日 16時) (レス) id: d81ad5e1bd (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - はなさん» コメント嬉しいです!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!! (2020年7月24日 22時) (レス) id: 9b1477a44b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すず | 作成日時:2020年7月19日 0時