漆話目 ページ10
『……』
とりあえず、観察だ
彼が持っている水槽の中には、リボンをつけた不思議な金魚がいる。あれはきっと例の彼女だろう
…彼がやったのか、それとも違うのか。それだけでも見分けないと
「んー…何も喋らない」
私が観察しているのに気づかない彼は、ムッとした表情でこちらを見ている。子どものような振る舞いで、少し力が抜けた
あれ、怪異ってこんなに可愛いかったっけ…?
《何で私魚類!!?ねえ、花子さん!》
ぴちゃぴちゃと水槽の中で元気に泳いでる金魚は、私がいることに気づいていないようだ
それもそうだよね、自分が金魚になったら誰でも焦るよね。あと、彼の名前はそのまま花子さんで良いんだ…
何も動かない、喋らない私に興味が失せたのか、花子さんは金魚の世話(?)をし始めた
「言っただろ、代償が伴うって
ヤシロは人魚の呪いを受けたんだよ」
なるほど。彼女はヤシロさんと言うの
人魚の呪いってことは、鱗を飲んだ訳ね
………ん?
鱗を、飲んだ…?
待って、じゃあ私ヤシロさんとぶつかった時、巾着袋に入ってた物って……!!!
いや。いやいやいや…それはない!!
そこまで運悪くないし、そもそも私魚になってないし!
……そういえば、私呪い消しちゃうんだった
本当?本当に飲んじゃったの…??
だとしたら相当運悪いじゃん……
自分の運の悪さを改めて実感し、項垂れる
その姿を花子さんに見られていたなんて知るはずもない
《それで私魚に…?》
「魚は人魚の眷属だからね。もし誰かに飲ませていれば呪いは2人に分散されて薄まるから、カンペキにお魚にはならなかっただろーけど……」
体の向きを変えて水槽をみる花子さん
「ヤシロ、もう1つの鱗は?」
ニコニコと笑っているように見えるが、目が笑っていない。怒っている、と言うか呆れていると言うか…そのような顔をしている
《そのことなんだけどね…私が気づいた時はもう無かったの!ほ、本当よ花子さん!!》
ぴちゃぴちゃと跳ねながら言い訳をするヤシロさん
何だか可哀想なのと、本当の事を話さなければならないと思い立ち上がる
「無かったってさぁ〜、どうすんの?どこかに落として……っ!?」
《え……》
『それ、飲んだの私』
花子さんの後ろの学ランを引っ張り言った
1166人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
餅 - 続きをお願いします!!🙏 (3月16日 9時) (レス) @page18 id: 3d4a314219 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 続きみたいです…🥹 (1月14日 14時) (レス) @page18 id: efa5c04296 (このIDを非表示/違反報告)
雪ミだいふく - 続きを読みたい続きを読みたい (7月8日 21時) (レス) @page18 id: 5e4e2058d4 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - 続きを…どうか続きをぉぉぉぉぉ!!!!!! (2023年4月6日 0時) (レス) @page18 id: d787175691 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿です - かすたぁどさん» めちゃくちゃ分かるんだけど (2022年3月19日 13時) (レス) @page18 id: 4111556d5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユニ | 作成日時:2016年8月17日 19時