22. 声援に応えるのもお仕事です ページ22
木戸川清修の整った連携は
星章サイド深くまで切り込んでくる
何度も襲いかかってくるボールは
いつしか2人の恐怖対象へと変わっていた
普段とはまるで異なる不慣れなポジション
試合開始からしばらく経っても
2人は手も足も出せずにいる
「おい鬼道！俺をFWに戻せ！」
吠えるような声で叫んだのは灰崎だった
フィールドにいる誰もが彼に注目する
「俺をFWに戻せば、すぐに取り返してやるよ！」
懇願するようにも聞こえる叫びに
霧野も視線を鬼道に向けた
一方の鬼道は呆れを滲ませ
ゴーグル越しに灰崎を捕らえる
帝国を支配していた頃の冷酷さ
それが垣間見えた気がして霧野は静かに息を飲んだ
「まだ分からないのか。お前が見るべきものが」
「…はぁ？」
「よく見て、考えろ。霧野、お前もな」
意気消沈といった様子の2人に
水神矢も声をかけることを躊躇ってしまう
異様な空気に包まれるスタジアム
スタンド席の1番前で立ち上がったのは
小さな少年達だった
「ねえちゃん、がんばれー！」
その大きな声は
グラウンドの霧野の耳にまで届く
彼女が顔を上げると
星章のレプリカユニフォームに身を包んだ
蘭丸と拓人の姿があった
「FWじゃないねえちゃんもかっこいいぞー！」
「DFのおしごとはまもるだけじゃないんだよっ！」
2人の可愛い応援団の声援に
霧野の胸がジンと熱くなる
そして彼女は気付くのだった
(守るだけが、仕事じゃない…)
幼いながらも拓人の一言は的確だった
後に賞賛されるゲームメイカーになる頭角は
この頃から現れていたのかもしれない
この位置からならフィールド全体が見渡せる
(…どうして気付かなかったんだろう、馬鹿みたい)
「灰崎！」
灰崎の名を呼ぶ彼女の目にもう躊躇いは無い
自信と愉しさが滲む
普段の霧野に戻っていた
「見よう、フィールド全体を。敵の動き、味方の動き、ボールの動き…前線からは見えないことが、見えるはず。ここからなら、全てを支配することが出来る」
「…はっ、そういうことかよ」
2人は顔を見合わせる
そしてそこから怒涛の猛攻が始まるのだった
「おい、ぼさっとすんな！9番がガラ空きだ！」
「早乙女先輩経由で前線に！今右サイドを突けば突破出来ます！」
「霧野、上がれ！」
灰崎が高く上げたボールは
吸い込まれるように霧野の足元へ
そして彼女は美しく笑うのだった
「…反撃開始」
＊＊＊＊＊＊
お待たせ致しました！
星が赤く染ってて驚きでした
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ユナ - 更新頑張って下さい (2019年1月27日 8時) (
レス) id: 9a61cb59d8 (このIDを非表示/違反報告)
天麻 - とても面白いです 更新頑張ってください (2018年8月6日 11時) (レス) id: 59f8b0c9ad (このIDを非表示/違反報告)
しろ@超低浮上(プロフ) - しおらんさん» ありがとうございます！全く更新出来ず申し訳ないです…気長にお待ちいただければと思います！ (2018年7月1日 17時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く面白いです！灰崎かっこいい！鬼道~！更新楽しみにしています！ (2018年6月28日 22時) (レス) id: 097333551a (このIDを非表示/違反報告)
葉咲 桜 - しろ@超低浮上さん» 霧野、霧野、霧野、、、。あー！！霧野！ (2018年5月16日 19時) (レス) id: 788ddd7239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2018年5月7日 11時
