＊憂鬱【光良夜桜】 ページ8
心の重さとペダルの重さは
絶対に比例していると思う
私の場合
月曜の朝は確実に重い
ついでに言えば
苦手な生物の授業がある日もだけど
何が辛いって
私が通う万能坂中は
名前の通りご立派な坂の上に建っている
生徒は否応なしに
万能坂と名付けられたこの坂を
毎日登らなければならない
「よっこらせっと」
女子力の欠片もない声を出しながら
サドルに股がる私
今日は生物がある日だから
心もペダルも、それに加えて鞄まで重いときた
(あーもう！最悪！)
前方にそびえる万能坂に
叫びたい気持ちを必死で抑えていると
「Aおっはー」
後ろから颯爽と現れた光良が
ケラケラ笑いながら軽やかにペダルを漕ぐ
「おはよ…」
「うっわ、疲れきってんじゃん！」
うける！と高笑いをしながらも
私にスピードを合わせてくれる光良
「あんただってクマひどいから！」
「生物あるからって、朝からそんなブスな顔してんじゃねーよ！」
「五月蝿いなー。余計なお世話！」
毒舌というかなんというか
顔は可愛いのに嫌な奴
「朝から俺に会えたんだから喜べ！」
「理不尽だなー」
万能坂に差し掛かり
必死にペダルを漕ぐ私の横で
爽やかに風を切る光良
なんなのこの格差！
「ひゃははっ、A超頑張ってるし！」
「むっかつくー！」
軽口を叩きながらも
ペダルの重さは全然感じなかった
駐輪場に着いた時には
少しだけ汗をかいていたけど
それもなんだか気持ちよくて
「疲れたー！」
家を出た時の憂鬱な気持ちが嘘みたいだ
光良は鍵をポケットに放り込み
私の顔をまじまじと見つめる
「…え、なに？」
「べっつに〜？」
ニヤニヤとピエロのような笑みを浮かべて
ほら早く！と私を急かす
少し先を歩く光良は不意に振り返ると
「いい顔、してんじゃん」
太陽に負けないくらいの笑顔で
親指を立てた
「何それ」
思わず吹き出した私に
「お前はヘラヘラ笑っとけばいいの！」
光良は口を尖らせる
その背中を追うように
私は軽やかな足取りで駆け出した
(憂鬱なんて、俺が吹き飛ばしてやるよ！)
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しろ(プロフ) - ゆくるさん» ありがとうございます！気長にお待ちいただけたらと思います (2018年2月20日 12時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆくる - リクエストで、雨宮太陽くんのがみたいです！書けたらで全然大丈夫です！ (2018年2月17日 22時) (レス) id: 9d81f0e141 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 実奈さん» 了解！気長に待っててね〜！ (2018年1月22日 0時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
実奈 - リクエストで御戸と木屋お願いしてもいいかな？ (2018年1月22日 0時) (レス) id: 5e8a5939a3 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - しろさん» yes(ﾎﾞｿｯ (2018年1月17日 15時) (レス) id: d3a7059d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2016年9月2日 23時
