＊夏が来るから【倉間典人】 ページ31
「じゃあいくよ、せーの！」
Aの掛け声に合わせ成績表を開く
平均的な数字が並ぶ俺のとは対照的に
5だけが並んだAの成績表
志望校が同じとか信じたくねえ
「今回オール5かよ…勝てるわけないだろ！」
「いいでしょ〜」
悪戯っ子のような無邪気な笑顔に
羨ましいとか妬ましいとか
そんな気持ち吹っ飛んじまう
「ってことでアイス奢りね」
「はいはい、仕方ねえな」
溜息を吐く俺になんてお構い無しに
上機嫌で成績表を仕舞うA
早くに鳴き始めた蝉の鳴き声を聞きながら
俺達は窓側の机を挟んで座る
ふとグラウンドを見下ろせば
青空の下で汗を流す野球部の姿が目に入った
「今年の夏は何するの？」
「何するって…そりゃ受験勉強だろ」
「だよね」
内申を気にするあの人が
夏が勝負だと意気込んでいたあの日から
気が付けば1年が経っていて
今度は俺が受験生という立場になっていた
去年の夏
俺と同じく毎日のように練習をしていたA
吹奏楽部に所属していたコイツの
トランペットの音をまだ覚えている
グラウンドの隅で休憩していた俺に
校舎の3階から手を振ってくれたんだっけ
「今年は倉間がサッカーやってるところ、見れないんだね」
「…んだよお前、見てたのかよ」
机に肘を置いて手で口元を隠しているものの
嬉しくて気恥ずかしくて顔を逸らす
「カッコよかったよ」
「…あっそ」
「また見たいなぁ、サッカーやってる倉間」
冗談めかした口調で小さくそう呟くA
今日はやけにコイツが眩しく見える
「見れるだろ、いつでも」
相変わらず目線を逸らしたままの俺に
Aは間抜けな顔で大きな瞳を瞬かせる
「高校では絶対エースになるって決めてるから」
俺のことだけ見てろ、とか
そんなキザなことは言えないけど
「応援、してくれんだろ？」
「え、観に行ってもいいの？」
「当たり前だろ。俺が何のためにお前と同じ学校志望してると思って…」
思わず滑り出た本音
やっちまった、と気付いた時にはもう遅かった
ふと目線を戻せば
今度は顔を真っ赤に染めたAが顔を逸らす
(いや、その顔は反則だろ…っ!!)
少しは期待していいのか、なんて
「あー…だから、夏くらい我慢しろよな」
「…うん」
息苦しいのは暑さのせいか
それともコイツと一緒にいるせいか
ーーー去年とは違う夏が始まる予感がした
＊＊＊＊＊＊
7/30青春カップ夏合宿一般参加します
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しろ(プロフ) - ゆくるさん» ありがとうございます！気長にお待ちいただけたらと思います (2018年2月20日 12時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆくる - リクエストで、雨宮太陽くんのがみたいです！書けたらで全然大丈夫です！ (2018年2月17日 22時) (レス) id: 9d81f0e141 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 実奈さん» 了解！気長に待っててね〜！ (2018年1月22日 0時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
実奈 - リクエストで御戸と木屋お願いしてもいいかな？ (2018年1月22日 0時) (レス) id: 5e8a5939a3 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - しろさん» yes(ﾎﾞｿｯ (2018年1月17日 15時) (レス) id: d3a7059d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2016年9月2日 23時
