問題児が2年生になった件について【星章学園】 (ページ18)

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14. 油断大敵、思春期男子 (＊) ページ18

誰も居ない部室、人気の無い帰り道

まるで挨拶をするかの如く
簡単に唇を奪っていく灰崎のことを
甘え上手な野良猫のようだと思っていたのに

触れるだけの口付けを何度も繰り返す今の彼に
野良猫なんて可愛い言葉は不似合いだ

「A」

艶やかな桃色の髪に触れた灰崎が
まるで内緒話をするかのように囁く

「口、開けろ」

「…え、」

再び重なる唇

唇の隙間から入り込んだ熱いものが
彼の舌だと理解するのに時間はかからなかった

羞恥心から逃げようとする霧野の舌を
灰崎が器用に絡め取る

「＿＿＿＿ゃ、んっ…だめ、ねぇ……っ」

吐息とも嬌声とも取れる甘い音が聴覚を支配して
灰崎の理性を少しずつ侵食していく

どちらのとも分からない熱と唾液を分け合って
霧野の羞恥心が限界に達した時

甘い余韻を響かせて唇が離れていく

「A」

至近距離で目を合わせ
満足気な表情の灰崎が名前を呼ぶ

愉しげな視線に耐えられず
ふいっと顔を逸らす霧野

真っ赤に染まった頬と涙が滲む蒼色の瞳が
彼女の羞恥を物語っていた

「お前、主導権握られると弱いよな」

試合の時もそうだけど、と付け加える灰崎

まだ何処かバツの悪そうな表情を浮かべながらも
霧野は小さく溜息を吐いた

「サッカーは関係無いでしょ…そもそも試合で主導権握られたらすぐ取り返すし」

でも、と続けた霧野が
ベッドに腰掛けた灰崎の手をきゅっと握る

「凌兵だからいいかなって」

「あ～～～～～～、クソ。もう1回してやろうか」

「…っ、勘弁して！もう行くよ」

「はいはい」

素早く身支度を整える霧野

キャプテンの顔に戻る彼女の額に
灰崎はそっとキスを落とした

(ったく、人の気も知らないで)