問題児が2年生になった件について【星章学園】 (ページ2)

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01. "あざとい"はずるいですよねページ2

「灰崎と霧野ちゃん、今年も同じクラスなんでしょ？」

ボールの片付けを行いながら
天使のような微笑みを浮かべる早乙女

そうなんですよ、と大袈裟に溜息を吐くのは
籠にボールを蹴り入れる霧野だ

グラウンドに散らかったボールを
次々と籠にしまっていく

「また同じ委員会にされて、いい迷惑です」

「体育祭実行委員だっけ」

「去年の霧野ちゃんのクラス、圧倒的に強かったもんなぁ。そりゃご指名も入るでしょ」

2人にタオルを投げた佐曽塚は
去年の体育祭を思い出していた

灰崎と霧野のお揃いのポニーテールは
サッカー部内外問わず好評だったようだ

「ま、意外と仕事してくれるんでいいんですけどね。女子からも"灰崎くんかっこいい～"なんてチヤホヤされちゃって」

「でけぇ声で噂すんな。丸聞こえだ」

ひょっこり現れた灰崎の顔には
苦虫を噛み潰したような表情が浮かんでいる

褒められて照れくさいのか何なのか
勿論霧野がそこを見逃すはずもなく

「何照れてんのよ。褒めてないから」

「うるせぇ、分かってるっての」

「っていうか毎回同じ委員会にするの止めてもらっていい？灰崎と付き合ってるのかってよく聞かれるんだけど」

「それはこっちの台詞だな」

「はいはい、喧嘩はそこまで。ミーティングして帰るぞ」

「キャプテンも今年、体育祭実行委員だよね。いつもHR委員とかなのに珍しいね」

割り込んできた水神矢に早乙女が問いかける

一瞬視線を外した水神矢だったが
すぐにいつもの穏やかな表情に戻った

「ああ。サッカー部の面子が多いし、最後の体育祭に貢献出来ればと思ってさ」

「とか言っちゃって、実は霧野ちゃんと同じ＿＿＿＿」

「断じて違う！」

「なんだかんだもうすぐ休部期間だもんねぇ。一緒に過ごす時間も減ってくわけだし…」

「だから違うって…！」

盛り上がる上級生達を横目に
灰崎が不敵な笑みを浮かべる

「キャプテン、絶対お前に気があるよな」

「…だったら何よ」

「何だ、自覚あんのかよ。お前はどう思ってるんだ、キャプテンのこと」

部員に囲まれて楽しげに微笑む水神矢の存在は
少なからず彼女の目にも眩しく見えていた

しかし素直に答えるのも癪に障る

霧野はいつも通りの悪戯な笑みを浮かべて
灰崎の顔を覗き込む

「好き」

「…え、」

「＿＿＿＿って言ったらどうするつもり？」

「…どうもしねぇよ」

ふいっと顔を背ける灰崎の横顔は
何処か拗ねているように見えた