07. 緑川くんの告白 ページ8
「A、どんどん上達してくなぁ」
思わず本音を零したのは夕暮れの帰り道
入部してから1ヶ月
持ち前の運動神経を生かして
みるみる上達していくAは
遂にはスタメン入りまで果たしてしまった
噂を聞きつけた他校のサッカー部からも
練習試合を申し込まれることが増えてきて
俺達は充実した部活動を行っている
「…吉良って本当に部活来ないんだね」
ヒロトの名前を出されて胸がチクリと痛んだが
平然を装って笑った
「授業には出てるんだけどね」
「そっか、リュウちゃんと吉良って同じクラスなのか」
「そうそう。あ、俺体育祭実行委員になったよ！」
「うちのクラスは私と南雲くん。…吉良は？」
「ヒロトは何も」
さっきからヒロトのことばっかり
折角2人で帰ってるのに
俺の気持ちなんてお構い無しかよ
「…ねえ、A」
「ん？」
1歩先を歩いていたAが振り返る
身体の動きを追うように
金色のポニーテールが揺れた
部活の後だけ見られる彼女のうなじは煽情的で
夕焼けに照らされた横顔はとても綺麗で
本能のままに手を伸ばす
「＿＿＿＿リュウちゃん？」
捲られたワイシャツの袖口を掴むと
Aは小首を傾げた
「ヒロトのことばっか、話すなよ…っ」
「そんなこと」
「そんなことない。俺と居るのに、他の男のことばっかり。寂しい、っての…」
「リュウちゃん、あの」
「俺のこと見ろよ、馬鹿」
気恥ずかしくなって額をくっつけると
あまりの距離の近さに頬が熱くなる
勢いに任せて何言ってるんだ俺は…！
この甘酸っぱくて息苦しい空気を破りたくて
俺は再び本音を零すのだった
「＿＿＿＿好きなんだよ、お前のこと」
ごめん、と小さく呟いて距離を取るA
その瞳は何処か遠くを見ているようで
振られた悲しみを忘れて
その憂いを帯びた表情に魅入ってしまう
「…今は、誰かと付き合うつもりなくて」
「そっ、か…。いや、気にしないで！本当に！」
必死に笑顔を繕って
その場を凌ぐことしか出来なかった
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しろ(プロフ) - いづうさん» ありがとうございます嬉しいです……！ (2019年2月25日 19時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 興味をそそる書き方にもう敬服しまくりです！！文面が洗練されてて読みやすかったです！つい一気に読んでしまいました…。ガンバレ夢主ちゃん！吉良を見返したれ！ (2019年2月24日 22時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2019年2月20日 18時
