01. 運命の始まり ページ2
「宮坂さん」
サッカーの詳しいルールを一通り教わった直後
監督である瞳子先生が私を呼んだ
担任でもある瞳子先生には
既に事の経緯が伝わっているようだった
「ごめんなさいね、無茶なお願いをして」
「いえ、お役に立てるなら光栄です」
「相手は全国大会40年間無敗記録を誇る帝国学園よ。貴女にはDFとして入ってもらうけれど、くれぐれも怪我等しないように気を付けて」
「はい。ありがとうございます」
相手がそんな強い学校だなんて聞いてないけれど
今更断れる雰囲気でもない
身体を伸ばしつつ指示されたポジションにつく
中央に置かれたボールに足をかけるのは
あの吉良ヒロトだ
味方だってことは分かっているけれど
あの舐めた態度が鼻につく
「では、練習試合を行います！」
ホイッスルが試合開始を告げると
アイツは目にも止まらぬ速さで駆け上がっていった
誰にもパスを出すことなく
あっという間にゴール前
「おらぁっ！」
しかしその足から放たれた鋭いボールは
GKに呆気なく止められてしまう
大きく弧を描いたボールはアイツの頭上を超え
MFであるリュウちゃんの近くまで飛んできた
相手のキャプテンがボールをトラップ
彼は華麗なボールさばきでこちらに向かってくる
同じラインに立っていた倉掛さんが
彼に向かって一直線に走っていく
しかしそのせいで右サイドががら空きだ
その隙間を縫って駆け上がってくる選手の視線は
確実にボールを捕らえている
そしてボールを運ぶ選手の目線が
一瞬だけその人を捕らえたことを見逃さなかった
「Aっ!?」
確実に間に合うことを計算して
倉掛さんが空けたポジションに向かって走る
相手のボールのリズムはなんとなく分かっていた
彼の足がボールに触れた瞬間を狙って
2人の間に入り込む
タイミングが良かったのか何なのか
私の足にぶつかったボールは軌道を変えた
「A、ナイスカット！」
遠くから聞こえてくる玲名の声
授業で習ったことを思い出しながら
ドリブルで前線に上がってく
「おい！こっちに渡せ！」
吠えるように叫ぶのは吉良ヒロト
私はアイツを挑発するように舌を出す
「あげないよーだ！」
「…っ、テメェ！」
そして私はゴールに向かって
一直線に駆け上がるのだった
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しろ(プロフ) - いづうさん» ありがとうございます嬉しいです……！ (2019年2月25日 19時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 興味をそそる書き方にもう敬服しまくりです！！文面が洗練されてて読みやすかったです！つい一気に読んでしまいました…。ガンバレ夢主ちゃん！吉良を見返したれ！ (2019年2月24日 22時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2019年2月20日 18時
