00. 助っ人の小悪魔さん ページ1
努力を重ねた分結果は自然とついてきたと思う
中学生記録を更新して
"1000年に1人の天才"とさえ呼ばれるようになった
周囲からの過剰な期待
部員から向けられる嫉妬と憎悪の念
それらに耐えられなくなった私は
命をかけてきた陸上から身を引いた
走る場所を失って
心に大きな穴が空いたようで
ずっとずっと心の何処かで
走る場所を探していたのかもしれない
そんな私に救いの手を差し伸べたのは
友人の玲名だった
「ねえ、サッカー部の助っ人してくれない？」
「サッカーなんて体育でしかやったこと…」
「貴女が1番適任だと思うからよ」
「…納得し難い理由だな」
「いいじゃない。友人を助けるつもりで、ね？」
半ば押し切られる形で決まったのは
サッカー部の練習試合の助っ人
ボールなんて触ったことも無い私が
試合なんて出ても大丈夫なのだろうか
設立したばかりのサッカー部は
何にせよ人手が足りないとか
「ありがとうA〜！助かるよ！」
きゅるんという効果音がつきそうな笑顔で
リュウちゃんが私の手を握る
ま、2人の役に立てるならいいか
そんな軽率な気持ちで参加した自分を殴りたい
借り物のユニフォームに身を包んだ私が
玲名と共にグラウンドに降りると
学年一の問題児と名高い
吉良ヒロトが軽々とボールを蹴り上げていた
直接関わったことはないけれど
学園長の息子でとんでもない問題児だと噂に聞く
ただサッカーの腕は一流で
"ゴッドストライカー"と呼ばれてるんだとか
なるべく関わりたくないタイプだ
「＿＿＿＿お前、誰だ？」
子猫のような瞳が私を真っ直ぐに捕らえる
私の代わりに答えたのは玲名だった
「友人の宮坂Aよ。助っ人を頼んだの」
へえ、と大して興味無さそうに呟いた彼は
再びボールを弄び始める
そしてチラリと私を見ると
生意気そうな表情で言うのだった
「使えなさそうな奴。足引っ張んなよ」
その瞬間
私の中で音を立てて何かが切れた
宙に浮いたボールを目掛けて足を伸ばすと
彼のボールは私の足に吸い付くように落ちてくる
見様見真似でリフティングをして
落ちてきたボールを腕で受け止めた私は
驚きを露わにする玲名に構うことなく
バランスを崩した彼を見下ろすのだった
「その言葉、忘れないでよ？」
不満げに私を見上げる彼
これが
我儘なゴッドストライカーと私の最悪の出会い
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しろ(プロフ) - いづうさん» ありがとうございます嬉しいです……！ (2019年2月25日 19時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 興味をそそる書き方にもう敬服しまくりです！！文面が洗練されてて読みやすかったです！つい一気に読んでしまいました…。ガンバレ夢主ちゃん！吉良を見返したれ！ (2019年2月24日 22時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2019年2月20日 18時
