★03(最終話) ページ33
「…君には、僕と同じ過ちを犯して欲しくないんだ」
シュウくんはそう言って
私からそっと手を離す
真剣な表情
その混じり気の無い瞳に
切なげな色が揺れている
彼が一体何者なのか
今、そんなことはどうでもよかった
彼の頬に伝う涙を拭ってあげたくて
私は褐色の肌にそっと手を伸ばす
シュウくんは拒む様子も無く
されるがままに私を見つめていた
「…シュウくんが過去にどんな辛い経験をしたか、私には分からない。辛いの基準は人それぞれ…この感情を共有するのって難しい。だから人の間には軋轢が生まれる」
だから私は隠してきた
自分の感情を偽って
普通という幸福を得るために
「私は、自分が納得のいく方法でしか進めない。時には失敗も挫折もするけど、もう何も怖くないから」
大切なものを失うこと
この酷く辛い経験が今の私を作っているから
「 …でも、ありがとう」
真っ直ぐぶつかってきてくれたのは
シュウくんが初めてだ
少しだけ
人を信じてみようと思えたのは
紛れもなく彼のお陰だから
「だから、泣かないで？」
微笑を浮かべて涙を流す彼の姿は
あまりに綺麗で儚くて
触れるのさえ躊躇われる
妹を救おうとして
他人を犠牲にしようとした彼の行動は
間違っていたのかもしれない
けれど妹に対する愛情が
彼にそのような行動を起こさせたのなら
私は間違っていないと思う
＿＿＿＿人にはそれぞれ"正義"がある
何をもって"正義"を語るのか
そんなことは分からないけれど
「シュウくんの正義は、間違ってないよ」
誰か1人でも
その"正義"を理解してくれたら
その人はきっと救われるだろう
(少なくとも私は、君の正義に救われた)
「Aちゃん、何で泣いてるの？」
シュウくんの細い指が私の目尻に触れる
壊れ物を扱うかのような繊細な手つき
慈しみに満ちた彼の笑顔は
今までに見た何よりも綺麗で
そこで私は初めて
自分が泣いていることに気が付いた
「 ＿＿＿＿ごめん、なさい…っ」
上手く言葉が出てこない
シュウくんはそんな私を見て
優しく微笑んでいた
＿＿＿＿彼女を変えたのは
心優しき少年の"正義"だった
それがいずれ本物の"愛"へと変わることを
彼女達はまだ知らない
fin.
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イナイレ好き - 人狼姿の佐久間想像したらめっちゃ格好いいのが出てきました このシリーズ全部読みました面白かったです (2020年4月23日 22時) (
レス) id: 573d988362 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - マテリアルガール♪さん» ありがとうございます！以前アンケートで風丸さんとシュウが同数票でしたのでどちらも書かせていただきます！最後まで是非お付き合いください！ (2018年1月24日 15時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
マテリアルガール♪(プロフ) - 風丸さんエンドがみたいです！いつも楽しく読ませて頂いております｡ (2018年1月24日 11時) (レス) id: 9077608811 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 帰蝶_°? ~kichou°~さん» ありがとうございます！コメント等頂けること本当に励みになります！またのんびり更新していけたらと思うので、来年も是非お付き合い下さい♪ (2017年12月23日 18時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - はいはいさん» コメントありがとうございます！お待たせ致しました！ (2017年12月23日 18時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2017年8月17日 14時
