ヒロイン？いいえ、傍観者です。【ツイステ】Part6 (ページ23)

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EPISODE3 - 13 ページ23

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明らかにさっきとは空気が違う。

息を吸うのも苦しくなりそうな部屋の中で僕は1口お茶を飲んだ。

『強さも、地位も、過去も…何も関係ありません。“あれ”は人の発していい言葉ではない。誰であろうと関わってはいけないものなのです。分かっていただけますか？』

「…っ、あなたは……」

『マジフト大会の時、師匠の仕事を覗いたらしいですね。好奇心旺盛なのはいい事だと思いますが、時と場合を考えるべきです。』

野生の本能とでも言うのだろうか、軽口をたたく余裕もなく僕の一挙手一投足に警戒しているのを感じる。さすがは人魚だ。

僕だってなんの下調べもなしにノコノコ着いてきた訳ではない。どんな人なのかぐらいは情報があるし、師匠との接触があったことも確認済み。だから、焦らずに対応出来たのだけれど…一つだけ分からないことがあった。

『あ、そういえば、話って結局なんだったんですか？まさかこれだけで終わりじゃないですよね？』

「……Aさん。───僕と取引をしませんか？」

『は？』

言いたいことが言い終わったので殺気をしまう。これだけ脅してもう偉そうなことは言えないだろうと思っていたのに、予想外の言葉が飛び出してきた。僕は思わず間抜けな声が出てしまった。

「あなたの…いえ、へティー・ウィーラーの歌声とオンボロ寮の監督生、ユウさんの安全を交換しましょう。」

『え、ちょ、ちょっと待ってください。』

「きっと彼はその性格上、お友達を助けるために僕に相談をしてくるでしょう。僕はその取引を受けようと思います。もちろん、何を対価にするかは言えませんが。」

『……つまり、その対価の内容を命が関わるものにはしない、と。そういうことですか？』

「そうです。その代わりにあなたの音楽の才をお借りしたい。」

自分の命の危機を感じてもなお、利益のために取引を持ちかけるのか…コイツは只者じゃないな。すごいと言うべきか、おかしいと言うべきか…

『ふふふ…』

「Aさん？」

『ハハ…アハハハハハハハハ！！！』

「ど、どうされました！？」

「あ〜、アズールがイルカちゃん壊したぁ！」

『いやー、面白いですね！アズール先輩って！』

「え…は！？」

『あの状況で一方的に取引持ちかけてくるなんて普通ありえないですよ！アハハハハ！！頭おかしすぎ！』

「なっ！頭がおかしいなんて、失礼ですね！」

『いやいや、褒めてるんですよ！』