EPISODE3 - 10 ページ20
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「あなたは、オンボロ寮の寮長A・ネーフェさんですね?」
『……お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした。早急に退出します。』
「いえ、あなたには少しお話があります。お時間よろしいでしょうか?」
他の2人には目もくれず、僕だけをじっと見つめてくる。気づいた時には背後に双子がスタンバイしていて、どう考えても断れる状況ではない。
「A…」
「そんなに警戒しないでください。悪い話ではありません。ただ…こちらから1つ提案があるのです。」
「提案…?また卑怯な手を使おうってんなら……」
『ストップ、狼くん。』
歯をむき出して威嚇をする狼くんの前に手を出して静止する。声のトーンが低かったからか、周りは一気に静まり返った。
『……ユウくん、ジャック。2人は先に帰ってて。』
「でも…!」
『大丈夫、変な契約はしないから。』
僕は2人の目を見つめながら笑った。それを見て、ユウくんは苦虫を噛み潰したような顔をしながら口を開いた。
「…分かった。その代わり、危なくなったら連絡してね!絶対だよ!?」
「……アンタを見くびるわけじゃねぇが、油断するなよ。」
『分かってるよ。なんかあったら2人に言う。』
「それでは、VIPルームにご案内致します。どうぞ、こちらへ。」
僕が大人しくついて行くことを決めたのがそんなに嬉しいのか、ニコニコと奥へと移動を促す詐欺師先輩。ユウくんと狼くんは双子に押されて学園に戻って行った。
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━━━ モストロ・ラウンジ-VIPルーム ━━━
ついて行った先にあったのは他の部屋より1層豪華な…いや、厳重に作られた部屋だった。
真っ先に目につく大きな金庫。そして、とても座り心地の良さそうなソファ。さすが、VIPルームと言うだけのことはある。
「どうぞ、ご自由にお座り下さい。今、お茶をお持ち致します。」
『失礼します。』
沈み込みそうなほどフカフカなソファに腰掛けると横から双子の片割れがお茶を出してくれた。それに軽く会釈を返し、前を見た。
そこには、不気味な優しい顔で笑う詐欺師先輩。その背後には護衛のように双子が立っている。
「Aさん、今やこの学園であなたの名前を知らない人はいないでしょう。とても優秀な生徒だともっぱらの噂ですからね。」
『そう言っていただけて、とても光栄です。』
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作者名:すずは | 作成日時:2022年6月25日 19時