EPISODE3 - 7 ページ17
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━━━ モストロ・ラウンジ ━━━
イソギンチャクの群れに紛れて歩いていくと、レストランのような場所にたどり着いた。
しばらく待っていると奥から正装を着た1人の生徒が顔を出す。それは、見知った顔だった。
「これはこれは。成績優秀者上位50名からあぶれた哀れなみなさん。ようこそ『モストロ・ラウンジ』へ。みなさん僕のことはよ〜くご存じでしょうが、改めて自己紹介を。
僕は、アズール・アーシェングロット。オクタヴィネル寮の寮長であり、カフェ『モストロ・ラウンジ』の支配人であり、そして───」
眼鏡の奥がきらりと光る。三日月型に歪んだ口元は美しくもあり、恐ろしくもあった。
「今日から君たちの
心底嬉しそうな声色は、イソギンチャクたちが彼の作戦にまんまとはめられたことを示していた。
彼の目的は最初からこれだったんだ…生徒を丸め込み、自分の手足にする。彼からしたら面白いぐらいに上手くいっているんだろうなぁ……
「君たちは僕と勝負をして、負けた。契約に基づき、これから卒業までの間、僕の
「ちょっと待った。こんなん詐欺だろ！」
「たしか君は、1年生のエース・トラッポラさんでしたね。詐欺だなんて人聞きが悪い。僕は契約通り君に完璧なテスト対策ノートを渡したはずですよ。しっかりこなせば、90点以上は取れたはずだ。」
「ああ。確かに取れたぜ、92点！」
「それは良かった！お役に立てたようでなによりです。」
「でも、対策ノートを渡した相手がこんなに居るなんて話は聞いてねーよ！」
「エースの言う通りだ。これじゃ、いくら対策ノートをもらったって上位50位に入れるわけないじゃないか！」
「みんなが90点以上じゃ、85点取っても赤点の時と順位がかわらねぇんだゾ！」
あーあー、なんか言ってるよ。意見をしっかり言えるのはエースのいい所だが、それが逆に恥を晒していることには気づかないのかな？
まぁ、いっか。これ以上ここにいてもイライラするだけでなんも面白いことなさそうだし、そろそろ帰ろ〜。
「A、どこ行くの？」
『げっ！ユウくん…』
「まだ終わってないよ？」
『え、いや…僕は……』
「まだ終わってないよね？」
『…ハイ。』
怖い！今日のユウくん、なんか怖いよ！こんなの絶対逆らえない…大人しくしておこう……
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作者名：すずは | 作成日時：2022年6月25日 19時
