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[「…何してるんですか。」]
開いた扉の先にいたのはジュリアン・ロキ。
ロキの方を見るルナは、有り得ないくらいに怖い顔をしていた。ルナが怒っていることにも、ロキがなんで扉を開けられたのかということにも驚いた僕はもう何も出来なくなっていた。
[「……あれー?鍵は閉めてたはずなんだけど。」]
[「日本の鍵はコレで開くと聞きましたから。」]
そう言ってロキが取り出したのは、コインだった。確かにそれで開く扉もあるが、ここの鍵がそこまで不用心だったなんて…
[「…まぁ、いいや。誰がいたって関係……」]
[「大アリですよ。Aを解放してあげてください。」]
[「えぇ?」]
顔の距離は少し遠くなったが、手つきは相変わらずイヤらしい。それに、なんか足が…上がってきてるような…
[『ちょっ…ルナ…』]
[「ん〜?何?」]
[『いい加減に…』]
逃げるなら今しかないと思った僕はルナの胸を力一杯押してみる。だが、ビクともしないどころか余裕そうに笑われた。自力では無理か…
そう思った時、目の前がいきなり真っ暗になり、何かに肩を引っ張られた。突然のことに僕はそのまま引っ張られた方向に体を傾けた。
[「さすがにそれは許せません。……ねぇ、皆さん。」]
[「うわ…」]
『?』
全く何が起こっているか分からない。唯一分かるのは、肌に触れているものはタオルだということ。そして、体を覆い隠してくれている。きっと今、僕の肩を抱いているのはロキだろう。
[「Aが欲しいなら、Aに選ばれてください。」]
[「…そうだね。A、楽しい遊びは時間切れみたい。今度はAから誘ってね!」]
[『……気が向いたら。』]
痛いほど突き刺さる彼らの殺気。どうせ後ろにはロキだけじゃなくて他の3人もいるのだろう。気配的に。それに、ルナは笑っている気がする。あの王子様フェイスは反則だ。
半分投げやりになっていた僕が呟くと、誰が僕の頭を掴んだ。そして、頭上からロキの声が聞こえてくる。
[「そういうこと言うから狙われるんですよ。」]
[『何言ったって狙うんだろ?もう僕は誰からも逃げられる気がしてないよ。』]
弱りきった体と非力な自分に嫌気がさす。本当ならばあのくらい自分で跳ね除けたかった。かつての自分なら出来ていたことが出来なくなっている。
そんな現状から飛び出した言葉。それは自身の限界を告げていた。
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すずは(プロフ) - 志希さん» コメントありがとうございます!原作との兼ね合いもあるので、また途中で停止してしまいますが、とりあえずキリのいい所までは頑張ろうと思っています。お楽しみに!! (2月27日 21時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
志希(プロフ) - とても面白い作品です!続きが気になりすぎます( *´꒳`*)更新頑張ってください‼️ (2月27日 20時) (レス) @page6 id: 72017f3ec0 (このIDを非表示/違反報告)
千椛(プロフ) - 続きがとても気になります!!更新楽しみに待ってます! (6月14日 20時) (レス) @page1 id: b4cbcf9e4b (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - ちかさん» コメントありがとうございます!頑張ります!! (5月18日 21時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - すごい面白いです!応援してます! (5月18日 17時) (レス) id: 6418013ee0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すずは | 作成日時:2023年5月16日 19時