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バイトの世界選抜組はまだホームに帰っていなかったらしい。四方八方を壁に囲まれて、僕は逃げ場を失った。いつの間にか絵心にもアンリさんにも見放されてるし…
[「さ、行こうか♪」]
[『……はい。』]
そんなこんなで僕はあっさり捕まってしまいました。首根っこを掴まれ、子猫のように運ばれる。シウバは何故いつもこうやって人を運ぶんだ!
…さて、練習と言っても何をするか。まずは、この鈍った体を戻すことに専念しよう。できるだけ体の負担を減らして、慣らしておかないと。
[「そういえば、聞きたいことがあるんだけど。」]
[『僕に?』]
[「うん。」]
いつの間にか床に下ろしてくれていたシウバ。僕はそのまま彼らと一緒に歩いていたが、ルナがふとした疑問を投げかけてくる。
[「Aって本当に死んじゃうの?」]
[「うわ、それ今聞きます?」]
[「だって気になったから。」]
[「でもさ、死んじゃうならサッカーやめたのも分かるよね。」]
[「ドクターストップなんだってな。」]
[『…らしいですね。』]
[「もう一度選手に戻る可能性は?」]
[『ははっ、奇跡でも願っておけば?』]
今ここにこうして立っているのでさえも奇跡だっていうのに、これ以上を望むことなんてできない。奇跡が起こったって、僕には何も返せないから。
[『……まぁ、でも…僕がいなくなったら、寂しいだろ?』]
[「自覚あんなら、死んでも生きてみせろよ。」]
[『死ぬのか生きるのかどっちだ…』]
[「本当に死ぬならその前に一発ヤラセろよ?」]
[「俺とのデートもね!2人で!」]
[「俺との予定も入れてね。」]
[「オイラもー。」]
[『はいはい。ほんとに君らは僕のことが好きだね〜…』]
なんでこんな世界的なスター達が僕のことを気に入ってくれているのか分からない。多方、暇つぶしの玩具としての立ち位置なのだろう。
そう思っていたので、冗談めかして笑う。すると、いきなりシーンとその場が静まり返った。不思議に思って後ろを振り返ると、彼らは真顔で僕を見ていた。
[『え、何?否定してくれないと冗談にならないんだけど。』]
意味が分からないといった様子で僕が首を傾げれば、彼らは同時に頭を抱えてため息をついた。
何か困らせるようなことを言っただろうか。それにしても、彼らのこんな表情を見るのは初めてだ。激レアショットとして売れるな。
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すずは(プロフ) - 志希さん» コメントありがとうございます!原作との兼ね合いもあるので、また途中で停止してしまいますが、とりあえずキリのいい所までは頑張ろうと思っています。お楽しみに!! (2月27日 21時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
志希(プロフ) - とても面白い作品です!続きが気になりすぎます( *´꒳`*)更新頑張ってください‼️ (2月27日 20時) (レス) @page6 id: 72017f3ec0 (このIDを非表示/違反報告)
千椛(プロフ) - 続きがとても気になります!!更新楽しみに待ってます! (6月14日 20時) (レス) @page1 id: b4cbcf9e4b (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - ちかさん» コメントありがとうございます!頑張ります!! (5月18日 21時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - すごい面白いです!応援してます! (5月18日 17時) (レス) id: 6418013ee0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すずは | 作成日時:2023年5月16日 19時