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『前に見た事あるから…』
その一言で気持ちがふっと浮き立って、
岩泉先輩以外目に入らなくなってしまいそう。
先輩…あの日のこと少しでも覚えてくれていたんですか？
｢そ、それよりさ、
Aちゃん、どうやって帰るの？
良かったら俺の傘入っていきなよ
一緒に帰ろ｣
及川先輩は私の視線を遮るように立ち、そう言った。
｢え、いや、それは……｣
助けを求めて雫ちゃんの方を見ると
｢ごめん、A。
さっきお母さんからスーパーの買い出し行くように連絡来ちゃった｣
なんで……さっきまでは一緒に帰ろうって……
｢なら、私も……！｣
｢いいから。
及川さんに送ってもらいなよ｣
そんな……及川先輩とふたりで帰るなんて…
あの日からなるべく二人きりにならないようにしてたのに…
｢及川さんと帰るの嫌なの？｣
｢そういうわけじゃ｣
｢よし、じゃあ一緒に帰ろー！｣
及川先輩は気まずくないのかな。
無邪気に喜ぶ及川先輩を見て胸がちくりと傷んだ。
｢それじゃ、俺たちはこれで〜｣
｢及川〜、送り狼になるなよ〜｣
｢ひどっ！マッキーの中での俺のイメージってなんなの？｣
｢｢｢そんな感じ｣｣｣
｢皆してひどっ！俺はもっと純粋だもん！｣
私と及川先輩は他の先輩方より先にバスを降りて、
そこから徒歩15分ほどの私の家へ歩き出した。
どうしよう何か話した方がいいよね…
そう思い、当たり障りのない話題を探せば探すほど、
頭の中は余計真っ白になって、
ひとつも話題は出てこない。
雨は本降りからシトシトとした静かな雨に変わり、
沈黙は余計際立ち、気まずさも増した。
｢俺の事避けてる…よね？｣
歩き出して3分ほど、
とうとう先輩が話を切り出した。
｢さ、避けてません｣
｢いいんだよ…気にしなくて。
あんなこと言われて気まずい思いさせちゃったよね｣
｢いえ、だから、その……｣
及川先輩は私が先輩を避けていることを
確信して、話を進める。
間違ってはないけど、人の話も聞かずに勝手に話を進めないで欲しい。
でも自分からはやっぱり何も言葉が出てこなくて、
側溝を水が流れるのをただ眺めていた。
｢Aちゃん…俺……｣
でも、自分の顔に冷たい雫が当たっているのに気づいて、
横から消えた先輩に気づいて、
｢俺……本気だから……｣
後ろを振り向くと同時に、腕を引かれ、
私の体はすっぽり
先輩の腕の中に収まってしまっていた。
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なな。 - 本当に素敵な作品だなっておもいました!何年間立ってしまっっていますが、また更新していただけたら嬉しいです!!!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年9月2日 19時) (
レス) id: a61ae100ab (このIDを非表示/違反報告)
錫羽(プロフ) - 桜月さん» コメントありがとうございます。できる範囲で面白い作品にできるよう頑張ります！ (2015年4月9日 10時) (レス) id: bf2c794795 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 初めて読みましたがとても面白いです！続きを楽しみにしています。落ちがどうなるのか楽しみです♪これからも頑張って下さい！ (2015年3月22日 1時) (レス) id: 9169d63014 (このIDを非表示/違反報告)
錫羽(プロフ) - いさみさん» コメントありがとうございます。頑張ります！ (2015年3月10日 12時) (レス) id: bf2c794795 (このIDを非表示/違反報告)
いさみ(プロフ) - めっさ、面白いです（´-`）頑張ってください！ww((⊂(∩●血●∩)⊃)) (2015年3月9日 18時) (レス) id: 103d234b73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錫羽 | 作成日時：2015年3月1日 12時
