【ハイキュー】番犬が牙を剥く瞬間【及川徹】【岩泉一】

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それから私たちは学校までの道のりを気まずい雰囲気で歩いた。

学校まであと少しというところで、及川さんは立ち止まって、重たそうに口を開いた。

「やっぱあんなのの後じゃ気まずいよね」

「い、いえ！」

「さっきの嘘」

「？」

「気にしてないって言ったの。

言っとくけど、別にあの子に未練があるっていうわけじゃないから」

てっきりすごく未練があるのかと思った。

岩泉先輩に絶賛初恋中で、恋人もできたことはないけど、

きっと、好きだった人と別れるのが辛くないはずないから。

「ま、周知の事実だとは思うけど、ぶっちゃけ俺はモテる。超モテる」

ちょっと何言ってるかワカンナイ。

「ちょっと何言ってるかワカンナイって顔しないで！」

「そ、そんなことは…」

バレてる…

「でも全然長続きしないんだよね。

バレーばっかで彼女に割く時間も労力も他の人より少ないのは分かってるけど、

多分それ以外にもきっと俺に問題があるんだろうね」

「そんなこと…及川さんはいい人です」

「そうなんだよ。

そんで、別れたら俺のことなんかすぐ忘れて、ああやって」

新しい恋人を作る。

仲睦まじく歩く青城のカップルを思い出す。

「俺の気持ちは無視して…ね

結局人の気持ちなんて、恋心なんてそんなものだよ。

簡単に他に」

「そんなこと！」

思わず大声がでた。及川さんは私がそんな大きな声を出したのに驚いたようで、目をまん丸にしている。

「そんなことないと思います。

よく知りもしない私がこんなこというの変かもしれませんけど、

きっと本当に好きだった人と別れは、どっちも苦しんで、苦しんで

一生懸命忘れようとして、乗り越えるものだと思います。

簡単に気持ちが離れるなんて言わないでください」

少なくとも私の気持ちは、そんな簡単に手放せるものじゃない。

私の気持ちまで否定されているような気がして、どうしても我慢できなくなった。

「確かに他の人のことは分かりません。

少なくとも私は…」

そこまで言いかけて気づいた。

私、好きな人いること暴露するようなこと言いそうだった！

危なかった〜。

及川さん気づいてないよね？

「とにかくそうじゃない人も絶対います！

だからそんなこと言わないでください！」

「ふっ」

「？」

「ふふ、あはは！あー、なんだかAちゃん、岩ちゃんみたい」

そんな、岩泉先輩みたいだなんて、恐れ多い。でも

岩泉先輩と一番仲がいい及川さんに言われると、にやけずにはいられなかった。

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