僕は何者にも囚われない雲に…僕は雲雀恭弥成り代わり (ページ46)

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第９０話(訂正済み) ページ46

一人の少女が孤児院に預けられて数日、少女は周りに酷く怯えていた。彼女は目の前で肉親を亡くし、心の拠り所を無くしたのだ。彼女を知るシスターはこう言った。

「彼女は周りが自分のせいで消える事を怯えてるのです⋯。あの子はとても優しい子です、いつかあの子が心から笑えるのであれば私は神に何度も祈りを捧げましょう⋯⋯」

シスターは少女にとある少年を引き合わせた。
少年もまた目の前で大切なものを無くした一人だった。

「A、シスター達が呼んでるから行こう?」
「⋯いい⋯⋯」
「俺と一緒なら大丈夫だよ!!」

少年は少女の手を引いて皆の輪へ引き込み、光となりました。少女は少年と共に笑顔を少しずつ見せ始め兄妹の様に笑い合い時に喧嘩しながらもすくすくと成長します。

「A、俺大きくなったら警察官になりたい」
「⋯なれるよ。ーーならきっと、なれる!!」
「Aの夢は?」
「私の、ゆめ?」

少女と少年は何時しか大人になる、そう思った矢先少女はこの世界から消えてしまいました。

「ーー、よく聞きなさい。Aが⋯死んだの」
「そ、んな⋯っA⋯っ!!うああああああああ!!」

少年は心から絶望した。
必ず守ると約束した少女を守れなかった。
自分の心を守ってくれた少女もまた少年のヒーローであり、少女に光を見せた少年もまた少女のヒーローだった。

「A⋯もうすぐ⋯会えるよ」

ーーこんな作り物の世界から君を連れ出してみせるよ。

閑話休題。
イタリアフェラーラ。
一人の少年が暗闇にひっそりと佇んでいた。

「⋯足リなイ」

くすんだ灰色の髪は何年も切り揃えておらず枝毛が散乱し、べっとりと赤い血がこびり付いていた。少年の服はまるで血に染まったかのように赤黒い。

「う゛ぉぉぉい!!テメーが血染めの灰被り男かぁ゛ぁ゛!!」
「うるさイ⋯っ!!殺ス⋯⋯!!」
「あ゛ぁ!?餓鬼が!!」

少年が一人の男に突っ込むと男はそれをサラリと受け流し首に一太刀を浴びせた。
その衝撃で力無く倒れた少年を担ぎ男は夜闇の街に姿を消したのだった。

「ーー、だいすき」

ボクも、だいすき。
君さえ居れば何もイラナイ。