僕は何者にも囚われない雲に…僕は雲雀恭弥成り代わり (ページ45)

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第８９話(訂正済み) ページ45

ーーどんなに悔やんだってこの出来事は必然で運命だった。

「俺らは自分のファミリーに実態実験のモルモットにされてたんだよ!!」
「やはりそうか。もしかしてと思ってはいたが、お前達は禁弾の憑依弾を作ったエストラーネオファミリーの人間だな」
「禁弾?それはテメーらの都合でつけたんだろーが」

エストラーネオファミリー。
悪逆非道、人間を人間としても扱わないマフィア。そして、骸を生み出した場所。

骸はあの地獄を独りでぶっ壊した。
城島犬や柿本千種からしたら彼は救世主であり、恩人。

「大人しくて目立つタイプじゃなかった⋯。声を聞いたのも初めてだった気がする。この時初めて⋯⋯」
「俺らに居場所が出来たーー⋯。それをおめーらに壊されてたまっかよ!!」

彼等は生きる事に必死だった。
生まれた時から死と隣合わせで懸命に懸命に生きようともがいて苦しんで、傷付いた。

私の過去よりも、酷く重く、辛い。
同情なんてしちゃいけない。
骸はそれを望んではいない。

「でも⋯俺だって⋯仲間が傷つくのを見てられない⋯。だってそこが俺の居場所だから」

淡い光。
それは陽だまりのように、大空の如く包み込むもの。

だから、骸。
貴方に私は光を見せたいんだ。
好きと、こんなにも嘘に塗れた私に⋯僕に言ってくれたから護るよ。

有幻覚を出し、遠くから飛んできた鎖を跳ね返す。そう、復讐者の首輪をね。

「っは⋯君、誰?今頃ノコノコと現れて番人気取りかい?」
「オマエハ⋯⋯!!」
「雲雀さん!!」

じわりとおしゃぶりが熱い。
まるでこいつ等に共鳴してるかのように⋯。

「ナニヲスル⋯」
「何って、彼等は被害者。君達が放置した結果こういうのが生まれたんだろ。何が番人だ、君達巫山戯るのは顔だけにしなよ」

ーー骸を、彼等を連れて行くのなら容赦はしない。

「キサマニハテヲダセナイ、ダガコイツラハツレテイク」
「っぐ!!」

有幻覚が消され、僕はその衝撃でぶっ飛ばされたと思いきや、誰かの温もりを感じた。

「⋯っ、相変わらず無茶しますね」
「むくろ⋯⋯」
「クフフ⋯復讐者。彼女に手を出さないと約束するのなら大人しく投獄されましょう」

また私の前から消えていく。

「ヤクソクハマモル」
「⋯A。必ず脱獄するので待っててくれますか?」

僕にだけ聞こえる声で囁く骸。
待つのは、慣れてる。

「来なきゃ咬み殺すから⋯っ」

アドレナリンが回っていたのか、そのまま僕は気を失った。