14振り目 ページ15
長谷部 side
《使えない刀など折れてしまえばいい》
主にそう言われた瞬間に俺の心で何かが崩れた音がした。
あの人が俺たちにしていることがいい事なんて決して言えないのは分かっていたが俺が主命を果たせば被害が減ると、主は俺しか見ないと信じて行動していたのに。
使えない刀。俺は、必要ない。捨てられる。
重傷の体を引きずって部屋に戻ってからは何もする気が起きなかった。
本当は自分を折ってしまいたかった。だが今の俺は腕が上がらない程に疲弊しているせいで折ることができない。
このまま手入れを受けずに食事も取らなければいつしか自然と折れるのではないか。そう思ってからどれくらいの時間が経っただろうか。
俺はいらない刀だ。早く折れてくれ。楽にしてくれ。
そう願っていたら誰かが俺に触れてきた。
この霊力は主ではない。でもどこか懐かしい感じがする。
『長谷部。俺だ。三条Aだ。遅くなってすまないがお前たちを助けに来た。光忠からはある程度話は聞いた。まだ人間は怖いかもしれないが俺はお前を絶対に捨てたりはしない』
A。聞いたことがある。俺はこの人を信用してもいいのだろうか。またいらないと言われたら?捨てられたら?
そんな時に昔の記憶が蘇る。
《長谷部、お前はかっこいいな》
《長政さんはお前を愛していたさ》
《怖いか?なら俺がお前を嫌という程愛してやる》
《約束だ。多少の年月は経つかもしれないが必ず助けだす。だから長谷部は俺を覚えていてくれ》
っっ!!!
思い出した。三条A。
俺が燭台切と現世に行った時に傷だらけの俺たちを助けてくれた人間だ。そして時間遡行軍をあっという間に倒した実力者。
まだ人間は怖い。もしかしたらまた捨てられるかもしれない。でも次にこの人に会ったら俺は一生着いていくと決めたんだ。
『戻ってこい!長谷部!』
長谷部「ぁ……A……」
長谷部 side 終了
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作者名:秋 | 作成日時:2023年6月10日 22時