12振り目 ページ13
話してるうちに長谷部の部屋の前へ着いた。
光忠や他の刀剣たちからはしっかり霊力を感じられるのにここからはうっすらしか感じない。それだけ容態は悪いということか。
燭台切「長谷部くん、入るよ」
返事が聞こえないというのに光忠は躊躇なく襖を開ける。
もうこれが日常的になっていたのかと思うともっと早くここにこれなかったのかと自分を恨みたくなる。だが過去は過去だ。元には戻れない。ならば今から長谷部に幸せを与えてやればいいんだよな。
開いた襖から長谷部を探す。
『……っっ!!!』
うっすらと感じる霊力を頼りに目をやると部屋の奥で力なく座り込んでいる長谷部を見つけた。が、目に光は無く体も痩せ細り傷だらけで本当にいつ折れるか分からない状態だ。
そんな姿に思わず涙が出そうになるがグッと堪えて彼に近寄る。
『長谷部、俺のこと覚えているか?』
長谷部「………」
燭台切「ずっとこのままなんだ。ピクリともせず言葉も発さない。ねぇ、長谷部くん大丈夫だよね?」
『綺麗事は嫌いだからはっきり言うが傷は治せる。それ以外は心の問題だ。心は手入れで治せない。長期戦になることだけ覚悟しておけ』
燭台切「分かった」
『と、その前に光忠。先にお前の手入れだ。長谷部が正気を取り戻した時にボロボロのままではカッコよくないだろ』
燭台切「そうだね。お願い」
光忠の体に触れて霊力を流す。多すぎず少なすぎず適量に。
数分後に手を離せば光忠の体から傷は消えていた。少し体を動かしてもらうが不具合はなさそうだ。初めてにしては上出来だ。
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作者名:秋 | 作成日時:2023年6月10日 22時