１０振り目 ページ11
三日月｢まて、人間よ｣
『あ？集中途切れさせんなよ』
三日月｢俺らはお前を認めていない。故に手入れもする必要がない｣
燭台切｢三日月くん！｣
三日月｢燭台切、この者に肩入れするなら敵とみなし容赦はしない｣
燭台切｢そんな…！｣
あの女からどんな仕打ちを受けてきたのか何て俺は知らない。その場にいなかったからな。ただ、ボロボロになっている刀剣男士たちを見ただけでもある程度は予想がつく。
俺も人間だ。それにさっきの呪言と目くらましで力がある事も分かっているだろう。だから恐怖することに関しては何も言わない。
それでも俺に助けを求めてきた光忠の___のあの時の気持ちを俺は無駄にすることができない。
『悲しいな』
三日月｢なに？｣
『お前らは家族なんだろ？家族が傷ついてボロボロになってる姿を見て何も思わねえのか？だとすれば今すぐ折ってやる』
三日月｢貴様…！｣
『知っての通り燭台切光忠はかっこいいを追究する刀だ。その光忠が恥を忍んでまだ17だった俺に助けを求めてきた。その理由が分かるか？』
燭台切｢Aくん…！｣
『家族であるお前らの傷ついている姿を見たくないからだ。お前らの笑顔を見たいからだ。何故それが分からない？』
横目で光忠を見る。
服の上からでも痩せているのが分かる。こいつの事だ、自分が身代わりになればと他の刀剣よりも酷い仕打ちを受けてきたんだろう。
そんな光忠の気持ちを分かってやれる奴がこの場にいないのがとてつもなく悲しい。
『お前らには心配してくれる家族がいる。唯一無二の存在を手放すようなことはするな』
乱｢…………｣
『俺を信用するしないは好きにしろ。手入れされたくないなら何もしねえ。ただ少しでも家族と笑い合いたいって気持ちがあるなら俺のところに来い。手入れしてほしいが俺と仲良くする気はないなら干渉はしない』
薬研｢………｣
『手入れされた家族を蔑む奴がいるなら俺は容赦しねえからな』
最後に少し殺気を込めたからなのか三日月宗近は何も言わなくなった。
言いたいことは全て言った。
ここで手入れをするのは辞めておこう。あいつの状態も知りたいし光忠に部屋に連れて行ってもらうか。
『光忠、あいつの部屋に連れてけ』
燭台切｢うん！｣
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作者名：秋 | 作成日時：2023年6月10日 22時
