トップを目指して【ドルメンX】 (ページ9)

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Song8 ページ9

― 夜 ―

　午後の仕事を終えて事務所に戻ってきた。そのまま家に帰ってもよかったけどみんなのこと気になるからね。多分遅くまで残ってるだろうし。

　ほら。みんなまだ居た。

羽多野「お前らダンス下手くそらしいな」

隊長「頑張ります！」

羽多野「あなたに決めましたのカバー、路上ライブまでに間に合うんか？」

隊長「間に合います。間に合わせ……えぇ！あの曲を路上ライブで…」

イチイ「恥ずかしい…」

隊長・イチイ「あわわわわわわわわ」

「ふふふっ」

　入ってきた私に気づかずに色々やってると思ったら急に慌てだすし、必死なのか恥ずかしいのかどっちかにしてくれ(笑)

イチイ「アヤさん！」

「よっ！」

羽多野「あ、そや。お前らのプロフィールばらまいたらな、オーディションの話来たわ」

「「え？」」

羽多野「隊長とイチイは舞台、ニイが人気アーティストのミュージックビデオ」

隊長・イチイ「おぉぉぉぉぉ！！！」

イチイ「あれ、社長。サイは？」

羽多野「あー、来てたけど断った」

サイ「え…？」

羽多野「そんな時間があるんやったら、曲作ってもらわないと困るからな」

　この時私は確信した。社長はドルメンXに賭けてると。前々から予感はしてた。でも今の発言で確信に変わった。社長は可能性のある人に厳しいことは言わない。これが可能性のない人だったらどんどん仕事を入れていくと思う。今まで私が見てきた人たちはみんなそうだったから。でもサイくんの話は断った。それほどに彼らには可能性があるんだね。

羽多野「曲作りは順調か？」

サイ「………はい」

イチイ「なぁ、聞かせてよ」

サイ「まだ人に聞かせられるレベルじゃないから」

　河合サイ。彼もまた私やイチイくんと同じ部類なんだろうな。ただ心の内を明かしてない今はまだ見守ってることにする。自分から弱音を吐いたときに力になってあげようかな。