第10話 初めて ページ12
．
「離せ」
住宅街でかっちゃんは立ち止まった。私はふたりの手を離し一歩下がる。
「てめェに助けを求めてなんかねえぞ…デク！Aも出しゃばってくんじゃねえ！無個性の出来損ないが見下すんじゃねぇぞ！！」
怒鳴り散らしたかっちゃんは、私たちが反応する間もなくくるりと背中を向けた。
私は彼が行ってしまう前に再び出久の手を取る。
「かっこよかった！」
それだけ言い残し、出久と別れてかっちゃんを追いかける。
もう空は茜色に染まっていた。
ーーーー
ーー
やっと追いついた。
ポッケに手を入れて少し前かがみに歩くかっちゃんの隣に駆け寄り、トントンと靴音を立てながら歩く。
「…ついてくんじゃねぇよ…ストーカーが」
「ストーカーじゃないし」
珍しく潤み声のかっちゃんはそんな事を言いながらも、それ以上私を突き放す様子はなかった。
さっきの事件のせいで弱っているように見える。
「嫌いじゃないよ」
「…あ？」
「かっちゃんのこと嫌いって言ったの、嘘だから」
なんとなく目が合わせづらくて自分の爪先を見ながら歩く。精神年齢はもう大人のはずなのに随分と子供っぽいことしたな、と改めて思った。
そう思えば更に恥ずかしくなって余計に顔が上げられなくなる。
「そうかよ」
ボソッと呟いた彼の声も届くくらい、静かだ。
「俺も、あれは少し言い過ぎたって思ってる」
あ、そうだったんだ。
さらりと動き出した原作にない場面、言葉、本心。この数年の中でこうやって2人きりで話す機会は1度もなくて、今が初めてで。
すべてが初めてだ。無個性だという共通点や関わりやすい彼の性格に甘えて出久と過ごす時間ばかりで、かっちゃんと遊んだりしたのは幼稚園での数回だけ。
オールマイトと鉢合わせてはいけないと、いつも気を使っていて幼稚園の外では出久さえも避けてほとんど1人でやり過ごしていた気がする。
「ふふ」
「急に笑うな」
「へへへ」
「気色わりい…」
本当はこういうのをしたかった。
仲良さそうな感じで並んで歩く、こういうのを。
出来るなら出久も一緒に3人で。当たり障りない話をして、時々恋バナもする。ふざけて、茶化して、3人で笑う。そんな平凡な時間を過ごしたかった。
「変なこと聞くけどよ」
「んー？機嫌いいから今ならなんでも答えられるよ」
っっていう今の発言は
私にとって久しぶりの嘘になる。
「お前、本当に�猝妓沈��瓩�？」
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しろくまさん(プロフ) - キラーさん» ありがとうございます。そう言っていただけると、頭の中が情報でごちゃごちゃになってスランプ予備軍に入りそうになってもリセットされて、すっきり新鮮な気持ちでお話を書けます。嬉しいです。これからも書きたいお話を自由にかけるように日々楽しんでいきたいです´ｰ` (2018年8月22日 21時) (
レス) id: c28038ff9f (このIDを非表示/違反報告)
キラー(プロフ) - ごめんなさい、私一瞬思ってしまいました。太宰さんと心中すればいいんじゃね？ (2018年8月22日 2時) (レス) id: 88d1b4cedc (このIDを非表示/違反報告)
しろくまさん(プロフ) - らなのMonOさん» 共感です心操君尊い…。設定についてご感ありがとうございます。設定は割と時間をかけて考えて構成を立てたので結構重要な要素です。楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2018年1月9日 16時) (レス) id: c28038ff9f (このIDを非表示/違反報告)
らなのMonO(プロフ) - あと！設定が面白いっす！ (2018年1月9日 14時) (レス) id: 78c6b76a3c (このIDを非表示/違反報告)
らなのMonO(プロフ) - ししし、心操クゥンがカアァイ。 (2018年1月9日 14時) (レス) id: 78c6b76a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろこ | 作成日時：2017年10月4日 17時
