【MHA】不老不死は恋をする。 (ページ24)

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第23話思い入れページ24

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翌日。
私の職場である爆心地ヒーロー事務所に出勤すると、ロビーに彼の姿はない。私は気にせずに朝食を作りニュースを見ながら珈琲を飲む。

昨晩、私が眠っている間にかっちゃんからメールが送られてきていた。真夜中になってペット3匹が脱走したという通報に対応するため今日はお昼まで寝る、という話だ。だから彼は仮眠室にいるのだろう。昨日の出来事を思い出せば、顔を合わせずに済んで良かったと思えた。…恥ずかしすぎる。

ふと流し見ていたニュース番組の中で昨日の火災の映像が流れた。救急車に乗ろうとしたトシヤ君が地面に落としてしまったオールマイトのフィギュア。それを爆心地が拾い渡す様子だった。その後、トシヤ君はお母さんと同じ救急車で応急処置を受けながら病院へと運ばれる。それを見送る爆心地やデクなど豪華な面々の背中。そのひとつが私の背中だった。コスチュームは学生の頃よりグレードアップして赤青黄白のラインが入っている。

「……………オールマイト」
恐る恐る声に出し、目を瞑る。
鮮明に覚えている。彼の姿を、声を、優しさを、温もりを、笑顔を。

前世に1人。現世に2人、そのうちの1人である、3人目の父がオールマイトだ。3人を同じくらい愛してる。感謝してる。だけどオールマイトにはほかの2人には教えてもらえなかった、オールマイトからじゃないと学べなかったことを沢山学んだ。そして憧れだった。だから特に思い入れがあるのだと思う。1番血の繋がりが薄い彼を、1番。

思い入れが強すぎたかもしれない。
この世界に最後の人生を贈る為に生まれて、私は必死に生きすぎてしまった。次元を越えてもオールマイトが好きだった。オールマイトを目標にした。オールマイトを追いかけた。

父であるオールマイトを追いかけ続けた。

だけど、体をバラバラにされたって少しの時間があれば再生し死ぬことの無い力、不老不死という力を得ている私を守って死んでいく父は、最期に私を抱きながら目を閉じた。
本来ならあんな敵に負けるわけがなかったのに、出久に個性を預けた為に短縮された寿命と、圧倒的に低下した体力とパワーによって、崩れてしまったのだ。私が父に抱きしめられずに身動きが取れていたら彼を守れた。

視界が歪み、はっとする。
涙を拭い時計を見ると10時手前。昼になれば昼食をつくる準備をしなければいけない訳だが、生憎食材は朝でほぼなくなってしまっていたのを思い出す。

よし。今日はショッピングに出かけよう。