【MHA】不老不死は恋をする。 (ページ12)

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第11話気持ち悪いページ12

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その日の夜、速報としてあらゆるニュース番組で今回の事件が取り上げられた。

私はそんなニュースを観ながら、髪の毛を濡らして、かっちゃんがお風呂から出てくるのを待っている。

出動して感化された日の夜はかっちゃんの家に飛び込む。それはもう日常茶飯事。だけど今回は少し躊躇った。結局来ちゃったわけだけど。

原因は他でもない昨日の葉隠ちゃんの発言だ。
今までなら、かっちゃん相手にこんなに意識することもなかったのに。「あと何分くらいで上がってくる…」とか「どういう反応しよう」とか普段なら気にしない些細なことが気になって仕方がない。
もういっそのこと一生お風呂入っててくれないだろうか。

なんて八つ当たりはこれくらいにして深呼吸。

これは女としてとても重大な告白なのだが、私は〝好き〟って気持ちを思い出せない。
いやだってさ、そんな気持ちを思い出せる余裕も無かったんだ、この世界が忙し過ぎて。

敵が現れてはまた現れる。一難去ってまた一難ってやつだよ。最近は休暇も増えるくらいには平和に近づいているものの、悪はキレイさっぱり消えてくれる程ヤワじゃないから。

「うわっ、」

首元にヒタリと湿っぽい何かが触れて我に返った。その勢いでソファから落ちて、床に手をつく。背後を見ればわざとらしく掌を濡らしたかっちゃんが満足気に私を見下ろしていた。

いつもの私ならここで彼に反撃するところだ。すぐさまシンクに向かい、自身の手を濡らして彼に水を飛ばすだろう。

だけど、今日は出来なかった。
そんな私に彼も違和感を覚えたらしく、眉を顰める。

「気持ちわりいんだよ」

そう言った彼は続けた。「大体、泣いた日の翌日は吹っ切れてんだろうが」と。どうやら私が普段と違う態度なのはオールマイトのことが理由だと勘違いしているらしい。

「それはさ、今回も寝たら多少収まったんだけどさ」

そう言いながらソファに座り直す。すると彼も背もたれを跨いで隣に胡座をかいた。

私の次の言葉を待つようにこっちを見つめる瞳。学生の頃から変わらないバサバサの髪の毛。学生の頃より大きくなった肩。

そこに掛けられているのは数年前に私のために購入してくれたタオルだ。かっちゃんは、いつもそのタオルで私の髪の毛を拭いてくれる。美容院でお手入れをしてもらうときの気分に似てて、私はその時間が好きだった。

「…乾かしてくれる…？」

いつもより、言葉が出にくい。