第94話 吐き出して新世界 ページ5
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今日も少し早めの時間に家を出てかっちゃんと合流し満員の1歩手前程の人に埋もれる。
車内に乗り込んですぐ、座席の横の手摺みたいなところに寄りかかりながら雄英を目指した。車両ががたんごとんと揺れる度に触れる私の肩とかっちゃんの腕が擦れた。
「ちょっと吐き出します」
唐突に言う。かっちゃんは1度はてなマークを浮かべてから、私の視界の端で無反応。OKサインだと受け取る。
「一昨日家に帰ってからパパに聞いちゃいました」
「…」
「私の両親はもう亡くなってて、パパとは血が繋がってませんでした」
「…おう」
「なのに、悲しくないです。」
頬は引き攣らない。目頭は熱くならない。
ただ、もう抱えきれない気がした。それだけだった。
「……私は人と言えるのでしょうか」
すっと呟いた言葉は誰かに呼ばれた私の名前に掻き消された。
「ヒーロー科の八木ちゃん!」
「あ…、はい」
声のする方を振り向くと厳ついおじさんが笑ってこちらを見ていた。それに伝染するかのように周りの人が同じくこちらに視線を送ってくる。
「えっ八木ってあの」
「本物だ」
「不老不死だなんてすげえなぁ」
「体育祭結果はアレだが目立ってたな!」
「隣のは1位の…!!」
かっちゃんを見るなりその数は半分程に減ったけど、それでも私たちに声をかけてくれる人は絶えることが無かった。
不老不死について大勢に知られるなんて初めての体験で、なんだか擽ったいと思った。
「おはよう〜」
挨拶もなしにずかずかと教室に入るかっちゃんの後ろからドアを潜った。まだ数人しか登校していないようだ。
「おはようござ……」
私の声に返事をしようと顔を上げた八百万ちゃんと目が合うと、その声は薄れて最後まで聞き取れない。
それに続いて楽しそうに話していた芦戸ちゃんと切島君と上鳴君、轟君も私を凝視する。
「八木ちゃん、髪の毛どーしたの…!?」
「短い!」
「真っ直ぐなストレートでしたのに」
勢いよく指摘されて、頬の横に垂れる髪の毛を指先で転がしてみた。
実は昨日、美容院で切ってもらってきたのだ。ポニーテールだったのが肩に触れるか触れないかくらいになって結ぶことさえやめた。それに加え、少し短くしたことでストレートが崩れて軽い癖っ毛。
さっきかっちゃんにも驚かれ、真顔で「誰だよ」って言われた。
「変…かな?」
「ううん、こっちもいいと思う!!」
「似合ってるしな」
皆の反応にほっと安心した朝。
窓に映るのは雨が降りそうな曇り空だった。
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しろこ(プロフ) - 夏終朝凪さん» こんばんは。コメントありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです…。今はこの作品と同時に更新している作品の方にいい感じの波が来ていてそちらに力を入れていますのでぜひそちらも！｢転生、そして不老不死。｣の更新も忘れた訳では無いので次の更新お楽しみに！ (2020年2月7日 0時) (
レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きがすごく楽しみです！とても面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます(*´▽｀*) (2020年2月6日 19時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - 桃色さん» ここまで読んでコメントまでありがとうございます(´ｰ｀)すっっっっっごく嬉しいです:-)これからも不定期にはなりますが楽しんで更新していこうと思うのでよろしくお願いします:-) (2019年6月20日 18時) (レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
桃色 - ほう続きがスッゴい気になります!!更新全裸待機です! (2019年6月18日 23時) (レス) id: 31c03fdbb7 (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - まめでんきゅうさん» こんばんは！お返事遅くなってしまってごめんなさい！あたたかいコメントありがとうございますしらこです！( ´ｰ`)めちゃくちゃ嬉しいです…これからも頑張ります( ´ｰ`) (2019年4月22日 22時) (レス) id: c28038ff9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろこ | 作成日時：2018年2月2日 15時
