第93話 炒飯の味 ページ4
．
「用事は終わったんだな」
「あ…パパ」
鍵を回してドアを開けた時、スーパーのビニール袋と同じく鍵を片手に持っていた買い物の帰りらしいオールマイトが笑った。
「いただきます」
「いただきます」
揃えた手を離してスプーンでそれを掬うとふわっと湯気と美味しそうな香りが広がる。ご飯とねぎと牛肉と卵しか入ってないシンプルな炒飯を、口に入れてはふはふしながら味わった。
オールマイトが買ってきてくれた具と昨夜の残りのご飯を炒めて作った炒飯は、お店に出るようばパラパラしたのじゃなくてどっちかっていうとモチモチ。私達はこっちが好きで、いつもこっちだった。
「どこ行ってきたの?」
図体に似合わず可愛い口調でオールマイトが問う。轟君とちょっと出かけたのと伝えれば、納得した様子で頷いた。
目の前に座る彼がスプーンを動かしながら「美味しい」と言ってくれているけど、私には味がしない。
「…なんか、悩み事かな」
口数が少なく、笑顔も作れない私を不審に思ったらしい彼が言った。
聞き辛いけど、この話も不老不死やA組の事と同じでいずれしなきゃないらいだろう。なら。
そう思って私は一口炒飯を食べてからお茶を飲み、やっと口を開いた。
「…いるのかなって、思って」
「なにがだ?」
「……………お母さん」
零れるように出てきた言葉はすんなり父の耳に入った。父は戸惑うことなく、まるでこの時間が訪れるのをとっくの昔から覚悟していたみたいに微笑む。
「いるよ」
もっと聞いてもいいんだぞ。
そんな風に言ってくれそうな笑顔だ。
漫画やアニメやドラマに時々出てくるような不良の息子にも向き合ってくれるような心の広い�爐�やじ�甦供�
全てを受け止めてくれるんじゃないかって自然と感じてしまう優しい声。
「…パパとは、血、繋がって無いの…?」
「…ああ」
私の代わりに心臓がばくばく鈍く叫ぶ。
「…2人のことを、教えてください」
ゆっくり涙が落ちるとオールマイトが箱ティッシュを近くに寄せてくれた。そこから1枚引っ張り、軽く拭う。
途中までは予想出来ていたし既に泣いていたからか、今はそんなに多くの涙は出なかった。
小さく頭を下げてお願いする。
「炒飯食べてから、じっくり話そう」
やっぱり炒飯の味はしなかった。
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しろこ(プロフ) - 夏終朝凪さん» こんばんは。コメントありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです…。今はこの作品と同時に更新している作品の方にいい感じの波が来ていてそちらに力を入れていますのでぜひそちらも！｢転生、そして不老不死。｣の更新も忘れた訳では無いので次の更新お楽しみに！ (2020年2月7日 0時) (
レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きがすごく楽しみです！とても面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます(*´▽｀*) (2020年2月6日 19時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - 桃色さん» ここまで読んでコメントまでありがとうございます(´ｰ｀)すっっっっっごく嬉しいです:-)これからも不定期にはなりますが楽しんで更新していこうと思うのでよろしくお願いします:-) (2019年6月20日 18時) (レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
桃色 - ほう続きがスッゴい気になります!!更新全裸待機です! (2019年6月18日 23時) (レス) id: 31c03fdbb7 (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - まめでんきゅうさん» こんばんは！お返事遅くなってしまってごめんなさい！あたたかいコメントありがとうございますしらこです！( ´ｰ`)めちゃくちゃ嬉しいです…これからも頑張ります( ´ｰ`) (2019年4月22日 22時) (レス) id: c28038ff9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろこ | 作成日時：2018年2月2日 15時
