第106話 コスチューム ページ17
．
コスチュームは黒のスウェットパンツと七分袖のVネックのインナーで、出動する様々な環境に対応出来るようにという会社からのご好意で、下着としてでもそれだけでも着れるという便利なスポーツブラまで入っていた。
要望通り風通しも良く動きやすい素材だから着やすそうだ。
…皆より少し遅れて、遂に自分のコスチュームが手元に来てしまった。
物語が進んでいるという実感とワクワクが灰色に混じりあう。むず痒い感覚だった。
それと同時にふつふつと不安も募る。
これを着て実際に街へ出てみて自分に合わなかったらどうしよう。作ってもらったばかりなのに破ってしまったらどうしよう。
違う。こんなこと考えても意味無いんだ。
首がもぎ取れそうなくらい強く首を振って頭をリセットする。体操着をロッカーに入れてそれに足を通し、スポーツブラの上にインナーを着た。
本当はもうちょっと余裕があってもいいかなぁと思っていたけど、要望とは異なりインナー腰のあたりはシュっとしていた。
ケースの中に入っていた取説にて、会社の方で手を加えたけたけど許してくれと書いてあって、そういえば出久も漫画の中でこんなことあったなぁとつい笑ってしまう。
すると廊下から校長が「着替え終わったかな？」と問いかけた。
彼が私を待ってくれていたことを忘れかけていた私は慌てて取説をケースに納めてドアを開ける。
「終わりました！どう…でしょう？」
少し恥ずかしい気持ちと一緒に両手を浮かせてその場で1回まわり、校長の顔窺った。
なんて言われるか期待と緊張を胸に収めながら息を呑むと、彼は「うんうん」と頷いてグーサインを作る。
どうやら変ではないみたい。校長がそう言ってくれるんだからそうなのだろう。
彼のプラスの反応に安堵しつつ、私の頭は休む暇なく回転した。
「あの、午後まで掃除の仕事したいんですけど、いいですか」
「もちろんさ」
快い返答に相澤先生に任せられている仕事内容を頭の中で再確認。廊下の掃除と、備品の整理、あとは………
校長に挨拶をして更衣室に戻ろうとするとドアを閉める手を止められて、そこからひょっこり顔を出しながら彼は言った。
「それ着たままでもOKだよ、時間短縮になるだろ？」
と、またまたグーサインと共に。
ーーーー
ーー
それから数時間。
授業を受けている生徒より少し早めに食堂にて昼食を頂き、相澤先生に呼ばれてグラウンドへ。
気だるげにそこにいた先生は私を見るなり欠伸をした。
「来たな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1457人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろこ(プロフ) - 夏終朝凪さん» こんばんは。コメントありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです…。今はこの作品と同時に更新している作品の方にいい感じの波が来ていてそちらに力を入れていますのでぜひそちらも！｢転生、そして不老不死。｣の更新も忘れた訳では無いので次の更新お楽しみに！ (2020年2月7日 0時) (
レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きがすごく楽しみです！とても面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます(*´▽｀*) (2020年2月6日 19時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - 桃色さん» ここまで読んでコメントまでありがとうございます(´ｰ｀)すっっっっっごく嬉しいです:-)これからも不定期にはなりますが楽しんで更新していこうと思うのでよろしくお願いします:-) (2019年6月20日 18時) (レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
桃色 - ほう続きがスッゴい気になります!!更新全裸待機です! (2019年6月18日 23時) (レス) id: 31c03fdbb7 (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - まめでんきゅうさん» こんばんは！お返事遅くなってしまってごめんなさい！あたたかいコメントありがとうございますしらこです！( ´ｰ`)めちゃくちゃ嬉しいです…これからも頑張ります( ´ｰ`) (2019年4月22日 22時) (レス) id: c28038ff9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろこ | 作成日時：2018年2月2日 15時
