31,背番号 ページ46
交流戦対日ハム戦2日目。
神宮のスタンドはファンで溢れていた。
そしていつもの応援歌がかかる。
今日、私はずっと哲人の側にいた。
今だ不調続きの彼。この前のホークス戦で
私に見せた涙が忘れられない。
山「うー暑い…」
あ「みゃー(´・ω・`)」
山「今日も頑張らなあかんなぁ…」
打率は2割ちょっと…。体が開き、いつもの
強力スウィングも無駄になってしまう…。
それでも、彼が期待される理由がある。
彼は、2016年からスワローズの
背番号1を授けられた。
前は青木さんが背負っていた番号だ。
二年連続トリプルスリーも獲得し、
優勝の時も力を発揮してくれた人物の一人。
誰よりも早く朝から自主トレを
頑張って、ただひたすら練習をして、
ここまできた。
ただ苦しんで苦しんで、それでも
練習だけは続ける。そして結果を残してきた。
そんな彼に、私達は
スワローズの背番号1を任せた。
今日の3回裏、彼の打順が回ってきた。
彼はベンチの前で、素振り練習をしていた。
山「そりゃきついわ本当にw
死にたくなるくらいに…。でも頑張らな、
ずっとこのままで終わってまう…」
あ「…みゃーあ?」
山「うん、大丈夫や。頑張るから」
彼は私の隣で、そう言っていた。
私は彼の姿をずっと見守る。
彼がバッターボックスに入った。
相手の球を一つ、空振りした。2ストライクで
1アウト1塁3塁の場面。
球場に哲人の応援歌が響くなか、
相手ピッチャーが次の球を投げた。
山(……!!ここや!!)
カァァァ−−−−−−ン_____
彼の打球はレフトスタンドへ…。
ファ『ワァァァーーーーーー!!』
彼の打った打球は3本塁打となり、
この回で一気に3点を取った。
その後、大引さんがホームラン、満塁の
場面で哲人が犠牲フライを放ち2点を追加。
スワローズ先発ピッチャー、ブキャナンさんは
9回まで完投して、見事完封。
スワローズの4連勝となった。
その日のヒーローインタビューには、
ブキャナンと一緒に哲人が呼ばれた。
そして最後にファンのみんなに一言、
山「良い時も悪い時も最後まで全力で
応援してくださるファンの皆さんに感謝
してます」
"この気持ちを忘れずに明日も
全力で頑張ります!!"
彼は真剣な顔でそう言った。
帰ってくると、彼は強く私を抱きしめた。
山「Aも、本当にいつもありがとう」
優しい笑顔でそう言った
燕の1番の姿に、私は猫ながら
嬉しくて、涙が出そうになった。
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作者名:雪 | 作成日時:2017年6月3日 0時