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20,swallow's tear ページ20

明日からは対ロッテ戦。


今日の試合、最後まで
大引さんと二人で応援してたけど、、、


大「ああ…つらいなぁ…。」



まさかの完封負け…。ファンからは
凄まじい野次の嵐がおこった。



大引さんと一緒に帰る準備をしていると、



山「お疲れ様でした。」



そういって哲人が一番に帰っていった。
顔はいつもにまして冴えない顔をしていた。



あ「みゃーみゃっ」ダッ
大「あれ、A?」



私はそんな哲人の姿を見てられなくなって、
すぐに彼を追いかけた。



しばらくして入り口近くの
壁にもたれ掛かっているのを見つけた。



あ「みゃあ____!!」




声をかけようとして、私は止めた。




山「…っ、グスッ……ふ……っ」




そこには、帽子を深く被り、
人目に付かない隅っこの方で俯いて
涙を流している背番号1番の姿があった。




あ「…みゃあ」




いつもみんなの前では、どんなに
悪くても普通に過ごしていた哲人。練習は
もちろん人一倍努力してきたが、結果は
なかなか出てくれなくて…

コーチやマスコミの前でも、弱音や本音は
言うことも多々あったけれど、
泣いている姿は見たことがなかった。



あ「…みゃーみゃ?」
山「!!…あ、えっ…グスッ、A…?」



私が躊躇しながら声をかけると、
哲人は涙を誤魔化すように顔をこすっていた。



山「…どないしてん。」
あ「…みゃーん」



哲人は一瞬困ったような顔をして、
私をすぐに抱き上げた。



あ「…みゃー」
山「あはは、見られてもうたな…w」



失敗したわー、そう言って無理に
笑おうとしていたけど、、、



山「俺、どうすればええねん…。」
あ「…みゃー」




そうして、哲人は私を自分の顔に
近づけた。



山「A、俺どうすればええん?
いつになったら打てるようになるん?
なあ、教えてや…頼むから……。」



"誰か教えてくれや……"



そう呟いた彼の声は今にも
消えてしまいそうで______




あ「みゃーあ」スリスリ
山「…あ。ごめんお前に言っても
何にもならへんよな…w」



哲人はまた、悲しそうに笑った。
でも、本心はやっぱ隠すことは出来なくて…



____ギュッ…。



山「…なあ、A。今日だけで、
ほんまに今日だけでええから…、、」



"隣で、泣いてもええ…?"



あ「…みゃーあ」スリスリ



私が彼の顔にすり寄ると、彼は
再び小さな嗚咽を漏らし始めた。



しばらくの間、通路には
哲人の泣き声が小さく響いていた。

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作者名: | 作成日時:2017年6月3日 0時

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