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最初は耐えられた。
彼は私から見ても凄い人で尊敬のできる人。
だからこそ私が彼の進む道を邪魔しちゃいけないから、倒れそうにならないように支えてあげなきゃってそう思ってたのに。
たまたま付けたクイズ番組に出ていた彼。
私がもう見なくなってどれくらい経ったか分からない笑顔を才色兼備という言葉が似合う彼女に向けていたのを見て心に黒いものが流れ込む感覚がした。
あぁ、これが『嫉妬』と言うやつだとすぐに分かった。
今、彼と付き合っているのは私で彼女は私だと頭で分かっていても心に流れ込む黒いものは止まることを知らなかった。
あの子の方が並んでて絵になるしお似合い
私よりも美人だし知識も豊富だし
あの子になれば私も笑いかけてもらえる?
あの子なんていなければ……
ハッとした時には遅かった。
気持ち悪さに耐えきれずトイレへ駆け込んだ。
心に溜まった黒いものは流れず涙が流れた。
辛くて苦しくてどうしようもなくて
声をあげて泣いた、こんな時そばにいて欲しい彼はどこにも居なくて
リビングのテレビから流れてくる音だけが響いた
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作者名:ヨル | 作成日時:2020年8月15日 18時