正しい頑張り方 ページ17
よし、迷惑かけた分頑張って役に立たないと
拷問器具は……あ、結構汚れてる
モザイクかかるくらい血にまみれてこりゃ大変だ
まずは洗い場まで運ばなきゃ……どっこいしょ
……？え、重い……？？
よっこらせっ！！
え、待って持ち上がんない！？
どうしよう、え、どうしよう
お香さん達に相談しに……いや、みんな忙しいのにこれじゃあまた迷惑かけちゃう
何とか一人で運ばないと
大丈夫、私ならできる
深呼吸して、お腹に力入れて、
「くうううっ！！」
はあ、はあ、一個を、引きずる、のが、精一杯、だけど、何とか、なりそう
「Aさん、何やってるんですか？」
「はいい！すみません！！……って、鬼灯さん？」
後ろから急に話しかけられてびっくりしたー
誰かと思ったら鬼灯さんか！
「えっと、この拷問器具たちを洗い場に持っていこうと思って……」
「そうですか、頑張ってください」
え、今の手伝ってくれる流れじゃないの！？
……でも鬼灯さんも忙しいよね
私なんかに構ってる暇ないわ
私が一人で運べればいい話
よいしょっっ！あー、重い！！！
洗い場、まであと、半分！
「うううっ！！ってあれ？？？」
鬼灯さん、私の運んでたやつ、持ってる？
「全く、貴女は手伝ってくださいの一言も言えないんですか？」
「え、で、でも、迷惑かけたらいけないと思って」
「貴女が失態を取り戻そうとしているのは分かりますが、できないことを無理やりやろうとするとかえって迷惑です」
「……すみません」
「貴女が現世で働いていた時は、なんでも自分でやらなければいけない環境だったと思いますが、ここでは違います。もっと周りを頼ることを覚えなさい」
「……はい、分かりました」
鬼灯さんと一緒に洗い場に向かう
「貴女は鬼ではないので、出来ないことも多いと思います。そんな時は、遠慮せずに言ってください。代わりの仕事なんていくらでもあります」
「でも、皆さん忙しいのに私なんかがそんなこと言ったら……」
鬼灯さんは深い溜息ついて私を見た
「その考えがまずダメです。ここで働いているのは皆プロです。貴女が話しかけたくらいで仕事は遅れません」
「そう、ですか」
「ほら、残りも私が持ってきましたから、綺麗に洗ってください」
いつの間に…！？
「……はい、ありがとうございます」
「では、私はこれで」
「あの！鬼灯さん！」
「何ですか？」
「……本当に、ありがとうございます！」
鬼灯さんは、いえ、とだけ言って去っていった
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作者名：るんらるんら | 作成日時：2021年8月13日 21時
