灰色のI #01 (ページ14)

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先輩ページ14

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初めてのレッスンから少しして
梅雨もあけ、夏が来ている

初日の印象が悪かったせいか
声をかけてくれるのは深澤さんぐらいで
その深澤さんも仲良い方が来れば
そっちに行くので基本的には
1人でいる事が多かった

レッスン中はダンスに集中できるから
特に1人でも支障はない
ただ自分はステージにまだ立たせて
貰えないから仲間作りもしなきゃならない

最近はコンサートのリハに
間に合わない子の役として出たりするため
ダンスレッスンしているようなものだ

ちゃんとしたステージに立ちたい
ダンスも表現力が落ちてる気がするし
焦りなのか暑さなのか、
大きなため息が出そうなのを我慢して
ダンスに集中するために顔をあげる

……いつ見てもあの人の表現力凄いな

僕と同じぐらいの背丈で
ちょっとだけ内気そうな人
でもダンスの表現力がすごい

たぶん、もっともっと化けるあの人

よし、休憩になったら声かけてみよう

このままじゃ何も変わらないし、と
休憩になるまでその人の表現力を
観察しながら踊っていた

何曲か踊りお昼の休憩時間
お昼ご飯を一緒に食べるのは
ちょっとハードル高いから
食べ終わったら声をかけようかな
と考えていると

｢｢｢HAPPYBIRTHDAY｣｣｣

とレッスン室にクラッカーのパンっ！
という音が響く
どうやら誰かの誕生日らしい

深澤さんがニコニコしながら
僕がずっと見ていた人に近づき

深｢佐久間おめでとう！｣

あぁ、あの人佐久間さんって
言うんだ覚えとこう

周りにいたJr.の子達も
おめでとうございますと言えば
少し恥ずかしそうにありがとうと
返していた

…って今日僕も誕生日だった

最近グループやステージの事を
考えてる事が多かったから
すっかり忘れてた

そっか、佐久間さんと
誕生日一緒なんだと秘かに共通点を
見つけてしまった

お話しに行きたかったけど
今は人だかりも出来てるし
もうちょいしてから行こうかなと
考えていると

ねぇねぇ、と声をかけられた

？？？｢あのさ、素浦くん？だよね｣

｢え？！あ、はい｣

びっくりして振り返ると
声をかけて来た人も少しびっくりしてて
びっくりした？ごめんね？と
可愛らしく謝ってくれた

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