1話 ページ2
メイドの朝は早い。
6時起床、6時15分までには仕事場について仕事を開始しなければいけないからだ。
しかし大抵のメイドはそれよりも早く起きている。
一部を除いて…。
『ふぁぁ〜。おはよ…』
ri「A！？もう6時よ！」
『6時って…。起床時間は6時でしょ』
彼女…ではなく彼はそんな一部の(女装)メイドだったりする。
メイドの朝ではなく、”女”の朝は早い。
毎日朝早くに起きてメイクやヘアセットをしなければならない。そしてW国の幹部様全員顔がいい。玉の輿とは行かずとも、専属メイドに…いや、一晩だけの関係を持ちたいと思うメイドはたくさんいるのだ。現に彼のルームメイトのリアもバッチリメイクされていて、ヘアセットに取り掛かっている。
『いや、俺は別にくしで10秒くらい解いて終わりだし』
そう言いながらベッドの上で髪を少しだけとかし、ぱぱっとメイド服に着替え毛布を畳んでいる。
彼、なんやかんやで女装してメイドをしているのだが、ポテンシャルを持っている。そのためすっぴんでこの可愛さ、そしてサラサラの髪ということで特にルームメイトからは嫉妬されている。もし彼を男だと知ったら嫉妬というか驚愕するだろう。
ri「ウ”ｯ!元がいいやつは…。というかまた一人称”俺”になってるわよ。仕事中早めておきなさいよ」
『はいはい』
朝は寝起きなので頭が回ってないらしく、普段通り”俺”と言ってしまう。まぁ、地声が高く完全に女の子なのでなんだかんだ男だと疑われていないのだが…。
顔を水でバシャバシャと洗い仕事場へと向かう。女装メイドの仕事が今始まるのだ…。
一応言っておくが女装は趣味ではない。
皿洗いをしながらふと女装していることについてムッとする。
今となっては恥ずかしくないが、別に女装癖があるわけではない。確かに自分が女の子に見える顔立ち、声、体型をしていたことはわかっていたし、かわいいと言われて、まぁ、俺かわいいしなと思ったりはしていた。
だが、女装するなんていう、いつか誰かにばれるかもしれない///みたいなドM思考はないし、女装して女の子とキャッキャウフフできるぜ！グヘヘ…。みたいな変態思考はそこまでない。(いやまぁ、女子とキャッキャウフフできるのは男だからちょっとは嬉しいけど)
髪が伸びて切ろうとしたら親に美容室に連れて行かれ、しかもなんか女の子みたいな髪型にされて、いつの間にがメイド募集の書類選考に受かって、何故か今こうやってメイドになっているのだ！
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作者名：赤 | 作成日時：2022年12月14日 19時
