義兄が配信者だった件。 (ページ12)

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1-12　　〈木下希子は恋をする〉ページ12

「…好き、だったんだけどな。」

初めましてたった今失恋した木下希子です。
今回は私がAくんに恋したときのことを教えたいと思います。

私は二学期の初めに転校してきました。

「木下希子です。よろしくお願いします！」

そのときはAくんは結構人気というか王子様みたいな感じだったらしい。
話を戻す。
自分で言うのもなんだけど私、容姿は結構整っている。
そのことをよく思わなかった子がいたんだろう。
他のクラスの子が地味な嫌がらせをしてきた。
…めんど。
ある日廊下を歩いていると

ﾊﾞｼｬﾝｯ!

バケツの水を掛けられた。

「あっごっめ～ん！」

心のない謝罪をされた。
いつも通り、大丈夫。
そう思ってもバケツの水とは違う水が頬を伝った。
すると視界がグレーに染まった。

「…胸糞わる…」

「…白蓮、くん…？」

そう言えばAくんはグレーのカーディガンを着ていたな。

「…それ、着ときな。」

「え…」

「水ぶっかけられて寒いでしょ。」

少しぶっきらぼうな感じだったけど私にはとても優しく聞こえた。

その後私はカーディガンを返しに行った。

「白蓮くん、ありがとう…」

「…？僕なにかした？」

「み、水かけられたとき、助けてくれたから…！」

そう言うと白蓮くんはきょとんとした。
私なんか変なこと言った…？
普通にお礼言っただけだよね…？

「普通の事だよ。てか僕今までずっと気づけなかったし同罪でしょ。」

カーディガンを手渡した後白蓮くんはしれっとそんなことを言う。
嗚呼、これは王子さまだ。
少なくとも私にとっては。

「…新しい恋、見つけよ。」

友達にお願いして良い人紹介してもらおうかな。
それか愚痴聴いてもらおう。
あの時Aくんに恋した話。

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