39話 ページ40
Aside
さとみくんは一言一言、噛み締めてゆっくりと話してくれた。
さとみ｢不登校、になった理由から話さないとなんだけど、人が…怖い。｣
ジェル｢人が…？｣
さとみ｢俺の両親、大量の借金を残したまま、事故でしんだんだ。親の借金を、子どもが返す義務はなかった。それでも、大量の借金だったしさすがに迷惑かけすぎていると思って、入った施設の人に頼み込んで夜遅くまでバイトを入れさせてもらった。施設の人が協力するって言ってくれたけど、さすがにそれは断った。…でもそのバイト代だけで返すのなんて無理だった。だから俺は、借金相手のおもちゃになった。｣
莉犬｢…おもちゃ？｣
さとみ｢毎晩バイトが終わったあとに、返せるだけ返したあと、足りないって言って殴られたり蹴られたりした。気を失って、朝に目を覚ました日も何度もあった。｣
私が握っているさとみくんの手は小刻みに震えていた。
そりゃそうだ。思い出したくもない辛い過去を、私たちにこうやって話してくれているんだから。
さとみ｢そこから、だんだんと人が怖くなった。施設の友達は心配してくれたけど、それすらも怖くて受け止めることが出来なくて、俺はどんどん施設でも孤立していった。しばらくしたら施設の人が借金相手のことは処理してくれたみたいだったけど、それでも忘れられなかった。学校でも、クラスのみんなのことが怖かった。外に出るのが怖くなって、引きこもるようになった。ちょうど中学卒業して高校で一人暮らしを始めたとき、昔から好きだったゲームを大量に揃えて、外に出ないようにしようって思ってた。｣
ころん｢僕は…さとみくんが殴られてるところ偶然見ちゃって、でも怖くて助けられなくて、、｣
さとみ｢…みんなすごい楽しそうにしてて、ゲームに逃げるしかない、外に出ることも出来ない俺なんか、全部いらないんじゃないかなって思うようになって。気づいたら、リスカするようになってた。初めてしたとき痛かったのにしねなくて、こんな簡単なものじゃないんだ。って思った。でも中毒みたいになって、今ここに自分が生きてるってわかるための方法みたいになっていってて…。｣
｢すいません、そろそろ面会時間終了なんですけど…。｣
看護師さんの人にそう言われ、私たちはさとみくんにばいばい、とだけ言って病室を出た。
それ以外に、なんていえばいいのか分からなかった。
さとみくんは悲しそうに笑って、ばいばい、と言ってくれた。
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ずあ - 今頃コメントすみません！号泣しました…！映画一本作れますよ。これ。応援してます！ (2019年8月5日 2時) (
レス) id: 4e94af6b8d (このIDを非表示/違反報告)
Mikazu - すごい (2019年6月25日 20時) (レス) id: babb1e82b9 (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 最高でした！！ (2019年5月14日 18時) (レス) id: ffb88be4b8 (このIDを非表示/違反報告)
からぴり - ころんくんがいい子すぎてほんとに泣けます(T_T)すとぷりメンバーも素敵、本当に泣けます(T_T) (2019年5月2日 17時) (レス) id: 246b598037 (このIDを非表示/違反報告)
涼音(プロフ) - いくみさん» 書いてくれるんですか？！みたいです！ (2019年4月26日 23時) (レス) id: 8e8fc6a313 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いくみ | 作者ホームページ：飲んでなくない？🍺∩(´^ヮ^｀)∩🍺 うぉううぉう！...
作成日時：2018年11月20日 23時
