不登校の君【stpr】【桃】

28話 ページ29

さとみside


不登校になってから初めて楽しいって感じられたのも


Aが家に1日来なかっただけであんなに寂しいと思ったのも


Aにいろいろ話すことができたのも


ころんがAに告白するってなったとき、付き合うってなったとき辛かったのも


嬉しいことなはずなのに、素直にころんとAのことを喜べないのも


全部、全部。
俺がAのことを好きだったから…？




もう、Aはころんのところに行ってしまった。
すべて、遅かったんだ。


過去にとらわれて、自分の本音から逃げて。


Aはずっとそばにいてくれる。
なんて、バカみたいなこと考えていた。


辛いことから逃げるという行為が、自分をひどく苦しめる。
辛いことに向き合うこと以上に、辛いことから逃げたあとは辛い。


結局は、俺は自分で気づかないうちに自分の首を絞めていただけだったんだ。


自分の気持ちを知れた今なら、強くなれるのか。
そんなわけがない。

過去にとらわれてるのは、変わらない。


俺は弱いから。


さとみ「っはは…バカみたい。」


口から自然と、渇いた笑いがこぼれでた。


目から溢れる大量の液体が、それを潤してくれることなんてなかった。



ななもりside


あれ、俺side久々な感じ！？
楽しくやっちゃおーぜぇ！


…とか言いたいけど、今はそんなことは言えない。


ジェルくんと莉犬くんと3人で作業をしていたら、図書室にいたらしいるぅとくんが教室にとびこんできた。


るぅと「ころちゃんとAさんが、付き合うことになりました。」


…え？
いや、え？


ジェル「え、Aはさとみが好きなんとちゃうん？」


いや、、俺もそう思ってたんだけど。
てか、あそこ両想いじゃないの。


るぅと「ころちゃんが、Aさんに告白したんです。」


ころんがAに好意を抱いてたことは知っている。
でも、応援すると言ってたことも知っている。


るぅと「応援するために、自分の気持ちだけでも正直に伝えたいって。」


莉犬「ころちゃん…かっこいいじゃん。」


ななもり「Aが、OKしたの？」


るぅと「…今、ころちゃんもさとみくんもすごく悩んでいるんです。」


Aは、どうしてOKをしたんだろう。
それとも俺たちが思ってた両想いってのは、ただの勘違い…？


ころんはああ見えて仲間想いだから、罪悪感みたいなものを感じてしまっていたらどうしよう。


俺たち4人は、顔を見合わせて黙ってしまった。

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