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『いやー、見つかってよかった』
「本当な。見つからなかったらどうしようかと思ったわ」
Aが懸念していた通り、放送で呼ばれていたのだ。
5分待っても放送が流れなかったためさとみが直接迷子センターに行ったのだ。
するとやっぱりAが男の子とゲーセンにいる間に男の子のお母さんが放送していたのだ。
そしてさとみがAに電話して迷子センターに呼び、男の子を引き取ってもらった。
『まじ良かった良かった。じゃあ片付いたってことで。…何で死にたい?』
「は?」
『何?』
Aとしては当たり前の質問だったので、さとみが怪訝そうに…いや、むしろ怯えているような恐怖の表情をしている理由が分からなかった。
「俺嫌っつったよな?記憶力悪すぎやろ」
『嫌って聞いてないんだけど。僕が聞いたのお前からの批判だけで否定の言葉はもらってないから一緒に死んでくれるって意味に受け取ってたわ』
Aからすると「知らねえよそんなの」は否定では無かったのでどっちか分からなかったのだ。
分からなかったが雰囲気的には嫌ってことなんだろうな、というのは分かっていたので落胆した。
「…じゃあ当ててみ?」
『何を?』
「俺がお前と死ぬの嫌かどうか」
さとみはAが当てられないという自信があったためそんな意地悪な提案をした。
『そりゃ嫌でしょ。僕みたいなのと元王子様が一緒に死ぬとか超スキャンダルだもん。僕もあんた程じゃないけど知名度は割と高かったんだからさ』
「ハズレ。おつぷり」
Aはさとみが言ったことが衝撃的すぎて一瞬フリーズした。
『は?何お前それが嘘じゃないとしたらさっき僕に言ったことと矛盾してんぞ』
「矛盾しちゃダメなんー?」
完全にからかっているさとみの態度にAは力が抜けた。
『なんだよお前…冗談かよ…』
びっくりした、とでも言いたげなAを見てさとみの方が驚く。
「お前俺が良いって言っても嫌って言っても落ち込むん?キモすぎ」
『いや良いって言ったら嬉しいんよ。けどお前が言ったの冗談じゃん。萎えるわぁ』
Aはさとみの最後に付け加えた暴言は無視して返事した。
「冗談じゃねえけど」
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作者名:める | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2024年1月11日 7時