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『久々のスタバー。普段家から出ないせいで中々飲めないんだよなー』
スタバの席を陣取って何気なく言うAを見てさとみは呆れた。
「そんな事どうでも良いんだけど。今更だけど今日何で呼び出したん?」
『死にたそうな声だったから僕と一緒に死んでくれないかなって』
Aは戸惑ったり言い淀んだりせずにさらっとそう答えたせいでさとみはすぐには理解ができなかった。
「は…?」
『簡単に言うと僕は死にたいけど1人で死ねない。だから一緒に死なないかってこと』
「知らねえよそんなの。しかも絶対今日初めて会った人に頼む事じゃねえだろ」
Aはこんな反応も想定内だった──いや、寧ろ1番可能性が高いと思っていたため特に反応は示さない。
だが心の中で落胆しているであろう事はAに別に興味はないはずのさとみですら簡単に想像がついた。
「お前、そんな事しようとするまで何に追い詰められてんだよ…」
呟きほどの大きさだったためAには聞こえなかったらしい。
『あーあ。まあそりゃそっか。コラボ依頼ずっとされてたし今日も来てくれたしでちょっと期待してたんだけど』
「何を勘違いしてたか知らねえけど。俺らは今日初対面で初めて話したのは昨日だ。分かるか?」
『ひっど。そこまで言うんだったらあんたの顔晒すためだけに1年ぶりにアカウント動かすよ』
真顔で言い切ったAにさとみは軽蔑した視線を投げかけた。
Aが性格がクソだと言うのは昨日と今日で十分分かっていたが、それでもこの脅しには許せないものがあった。
「それなら俺にもできるし、訴訟したらお前確定で敗訴だぞ」
『あんたが勝訴になってもどうせ民事裁判だろうから慰謝料請求とかはまた別でしょ。ちゃんとそういうとこまで調べてる?』
さとみは「そういうところ」まで調べているのが暴露配信者の方が向いている所以だと感じ、本日何回目かの呆れを見せた。
それにこんな事を言った後に普通の顔をして飲み物を飲んでいるのはやっぱり口が異常に悪いんだろうなと改めて思った。
「…疲れるからもう良いや。しかもいつの間にかお互い飲み物飲み終わってるし行くぞ」
『あ、マジじゃん。まだ半分くらいしか飲んでない気分でいたわ』
「喉キモ」
『顔ウザ』
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作者名:める | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2024年1月11日 7時