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「いつするとかゆーのはあんの?」



『特にー。お前はいつしたいとかあんの?』



床にあぐらをかいて座ったさとみとソファーに膝を曲げて寝っ転がっているAがするには重い話であったが、この2人は半ば開き直っていたためどちらも特に気にしなかった。



「なるべく早くしたい以外は」



『あーね。それは僕も同じだわ。なんなら今からでもする?』



Aは完全にガチトーンだったがさとみは顔色ひとつ変えない。



「どうやる?俺が最初考えてた飛び降りは死ねない可能性が高いらしいし」



『完全にいけるやつでしょー?…毒とか』



「どうやって手に入れんだよ」



さとみに突っ込まれてAは黙り込む。



さとみはため息をついた。



「正直あんま言いたくなかったけど…海とか」



『まじか。最初からそれは候補から外してたわ』



軽く驚いた顔をしたAを見てさとみは逆に驚いた。



「海だったら死体とか見つかる可能性も割と低そうだし俺もお前も死んだ後にイメージダウンしなくて済むと思ったんだけど」



『僕は別にイメージとかどうでも良いし自分が良かったらなんでも良いって感じだけどさぁー』



寝っ転がった状態からガバッと起き上がりAは真っ直ぐにさとみの目を見た。



『死体が見つからないってことは死んだこともわからないじゃん?僕が完全にこの世から消えるのは嫌なんよね』



「俺は寧ろ俺が生きてたって事実を失くしたいけどな」



『ええ、うそぉ。馬鹿なんじゃない?』



Aが馬鹿だと本気で思っていることを察したさとみはふっと僅かに笑みを見せた。



「俺とお前の考え違いすぎんだろ。で、結局どうする?」



『海で良いんじゃない?僕、さっきはあんな風に言ったけど別に良いよ』



「最後になんか残してけば?俺はなんもしねえけど。どうせまた合鍵で開けた元メンバーにいないことは気付かれるし」



さとみは静かに首を振ったAを憐れむような顔で見た。



「俺なんかに合わせんなよ。やるからには今日行くか?」



『行く。引き伸ばしても意味ない』



「じゃあ準備できたら出発で」



さとみもAも覚悟は決めていたが、急いでも最期は変わらないので1時間後の自分達に任せることにした。



もうさとみにもAにも時間なんてものは関係なかったが。

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作者名:める | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1  
作成日時:2024年1月11日 7時

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