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「ねえ!!なんで急に抜けるなんて言い出したのさ!!」
さとみがリビングにいやいや顔を見せにいった瞬間である。
ころんはさとみがきたと気付いた瞬間持っていたコントローラーを隣にいた莉犬に押し付けてさとみのもとに走ってきて怒鳴り始めたのだ。
だが怒鳴っているはずなのに涙目になっている、とさとみは気付いたが見なかったフリをした。
「さとみくんがディスコでやめるって言ってから1週間くらいしか経ってないのにめちゃくちゃ大変だったんだけど!!ふざけんな!!」
そこまで言ってからころんはさとみの肩に両手を乗せて下を向き泣き始めた。
「そんな泣くなよな…?」
ころんが色々と忙しいのでさとみは困ったように苦笑した。
それでも前までならころんの頭を撫でていたはずのさとみの手は動かない。
「さとみくん」
その様子を黙って見ていた紫色のリーダーがさとみに声をかけてきた。
周りの反応は様々だ。
まだ号泣している水色。
水色をさとみから剥がして抱きしめている赤色。
赤色と水色に慰めの言葉をかけている黄色。
紫色の隣に立って心配そうにさとみを見ているオレンジ色。
そして…先ほどから一切口を出さずに部屋の端っこに立ってさとみを射抜くように見ているA。
「はい」
「頑張ったね。限界だったんだよね?」
さとみは思った。ああ、なんで、なんでこの人は俺にとって必要だった言葉を言ってくれるんだろう?
だが、今のさとみにはそんな言葉必要ない。
「そうだった」
「すとぷりに戻る気がないならそれで良いよ。けど俺はさとみくんが心配なだけ」
『うるさい』
さとみは振り返った。するといつの間に来ていたのかさとみの背後にAが立っていた。
「なっ、うるさいって何やねん!?」
『貴方には言ってない。僕が言ってんのはそっちの方』
さとみに対する時よりはマシだがやはり毒舌でうざそうにジェルを追い払いななもり。に向き直った。
『貴方、一体どの立場なの?』
「さとみくんが所属していたすとぷりのリーダーです。そちらは…」
『元ゲーム実況者のAだけど』
「えっ…Aさん…!?」
ころんと莉犬と喋っていたるぅとが声を上げたのも仕方がない。
Aは一年前に引退したとはいえかなり有名だったのだから。
『そ。で、なんなのあんた?』
不愉快そうにななもり。を見るAの顔にはほんの少し恐怖が滲んでいた。
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作者名:める | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2024年1月11日 7時