痛みが聞こえますか1-1 ページ5
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ノートとペンを買って、この騒がしい雑貨屋から早く出ようと思った。すると、時計とカレンダーが見えたので、私は覗いてみることにした。
(……!!)
私はすぐに雑貨屋の人の前で、買ったばかりのノートに急いで綴った文字を見せる。
「…ん?なに?”あれから4年が経った”って?あの、お客様…言ってる内容が分からないのですが?……えっと、今の西暦は──」
店の人から言われた西暦に私は愕然とした。
(……あれから、4年しか経っていないの?)
予想を遥かに超えて、あれから4年しか経っていないことに驚きを隠せなかった。14の頃に侯爵邸に連れられて、数々の仕打ちを受けてきた。それが4年しかされていなかったなんて。
私はすぐに雑貨屋を飛び出し、服屋に向かった。そして、服屋の人にも今が西暦何年かを尋ねた。
「…?お客様はおかしなことを聞くのですね?今は──」
皆は口を揃えてあの年から4年しか経っていないことを言った。…あれだけのことをされて、長く感じていた私の時間。それが人々にとってはたったの4年しか経っていない。
感情を喰らったはずだったのに、私はその事が頭から離れなかった。そんな中、服屋の女性は私の身体をじっと見ていた。
「あなた…傷だらけだけど、家で何かあったの?」
「っ……!!わ、た…しは…。」
久しぶりに発した声に、上手く言葉が出てこなかった。そんな私を見て、女性はいきなり手を掴んできて震える手を包み込んだ。
ニッコリと微笑む女性に、私は恐怖心でいっぱいだった。
「…ぁ…ゔ。」
「大丈夫…大丈夫だから、あなたをお姉さんが”安心して任せられる”人の所へ行かせてあげるわ。」
安心して任せられるという単語に私は警戒心が強まる。大人はいつもこうやって言うんだから。
(…また、私はあの時のように。)
「あっ、待って…!」
私は女性の手を振り払って、急いでここの街から離れることにした。”なるべく遠くへ”とお願いすれば、あんな危険な国から逃げられると信じたのに。
(…なるべく人がいない所に隠れなきゃ。)
そう思い、必死に街の北方向に逃げたのだ。そんな中、私はある旅館にたどり着くことになる
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天野アリサ(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます…!前作から見てくださったのですね…!本当に感謝です…!今作も読んで楽しんで頂けたら幸いです! (2022年11月17日 17時) (レス) @page12 id: 08985c907f (このIDを非表示/違反報告)
る - 前作から見ていました!今作も面白いものをありがとうございます! (2022年11月16日 19時) (レス) @page7 id: 1c00c5b49c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いるか | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月14日 12時