胸の高鳴りが聞こえますか4-0 ページ20
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私が笑った…か。最後にちゃんと笑ったのは何年前だったんだろう。…考えたってしょうがないことだけれど。──捨てられたとわかった瞬間、私に向けられたあの笑みは本当に恐ろしいものだった。
彼らは今頃どうしてるのだろう。侯爵と伯爵が逃げ出したあの日に侯爵邸で会おうとしてたら…私は伯爵の元に連れて行かれたのか…今でも分からないけれど。
「では、我はもう戻る。明日、お前を迎えに行く。その前に死ぬなんて馬鹿なことは考えるなよ。」
「どうせ死ぬことには変わりないですから。」
私がそう言うと魈は少し睨みつけていたが、少し急いでいたのかそのままどこかへ行ってしまった。
『ウォンモール伯爵は前伯爵夫人と双子を産み、アナスタシア様のことについて『あの子は部屋に閉じこもっており、伯爵の後継者として相応しくない』、また『この子達のどちらかを伯爵の位に継がせる』と言いました。』
(今の伯爵令息はどうしてるんだろう…。オルコット令嬢の言葉が正しければ、きっと私と同じく売春婦の子として侯爵に…。)
ドクンッと変な胸騒ぎがした。私は自分のことで精一杯なのに、他人の心配なんてしてる場合では無いのに…。この胸騒ぎの元凶は、あの日逃げ出してしまった自分に対して。
私が逃げ出さずにいたら、伯爵令息の身になにかあったとしても責任を取るのは私であり…見ず知らずの弟にも嫌われることになってしまう。──って、何を考えてるの7号。
(社交界に出たばかりの時、周りは売春婦の娘だと蔑まされ敵は沢山いた。貴族たちを利用しようして、周りを認めさせるためだったらなんだってしてきたあの頃の自分を思い出しなさい。あの時の感情を…。)
『あら…あの令嬢と令息達、”氷の華”の餌食になったのね。』
『平民出身だからって、彼女を敵に回すといけないとあれほど言ったのに…。』
『まぁ、あいつらは伯爵と伯爵夫人の悪い噂を流してたからな…当然だろう。』
『令嬢も恐ろしいな…いくら父親と母親を愛しているからって、悪い噂を流されるほど出来の悪いあのお二方庇うなんて…本当に怖い女だ。』
『伯爵達も自業自得なのにね…。まぁ、彼女はあの伯爵達と似つかなかったことが唯一助かった事ですわね。』
『まぁ…彼女を敵に回したらいけないことを念頭に、これからも関わらなきゃいけないわね。』
(そう…私が笑ってはダメなのだから。)
『氷の華は…”目の前で笑い声を出たのが敵とみなしたサインだから”』
胸の高鳴りが聞こえますか4-1→←生きたいと願う声が聞こえますか3-5
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天野アリサ(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます…!前作から見てくださったのですね…!本当に感謝です…!今作も読んで楽しんで頂けたら幸いです! (2022年11月17日 17時) (レス) @page12 id: 08985c907f (このIDを非表示/違反報告)
る - 前作から見ていました!今作も面白いものをありがとうございます! (2022年11月16日 19時) (レス) @page7 id: 1c00c5b49c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いるか | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月14日 12時