鼓動が聞こえますか2-1 ページ11
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『今日からお前の名はアナスタシアではない。いいか、7号だ。お前の流れる血でアナスタシアという名前はもったいない。』
『い、嫌です…!私の名前は…お母様がつけてくださった大切な…。』
『おや?ではその大切な名前をつけてくれた母親はどこにいる?』
『…っ。』
『ふっ…やはり、答えられぬのだろう?気づいていないのか?お前の母親は、出来損ないのお前を捨てた。なぜか知りたくないか?』
やめて。これ以上知りたくない…。母が…何故あそこまで私を簡単に捨てた理由など。
お母様とお父様が私を可愛がって下さった。18という若さで、私を産んでくれてそれが幸せだと感じていたのに。
『いいか、お前の母親は──』
私と離れる前、お父様とお母様が知らないところで幸せそうにしていたのだって知っていた。私じゃ足りないのだと、そう信じるのが怖かった。
気づいていた…はずだったのに。
『新しい子を産み、今はその子を伯爵令嬢として育てておる。』
私の居場所はここだと、守ってきたこの場を譲らないと必死になってたのに。──私は結局、誰にも必要とされないただの道具にすぎなかったのだ。
母の面影を探して、今度会った時には幸せに暮らしていこうと思っていた。それも結局は、誰かに奪われてしまった。
「…起きてくれ。」
「うぅ……わた、し…はっ。」
「…お前、大丈夫か?」
「……うっ、ここ…は?」
彼からの問いかけから身体が反応した。この丈夫な身体はまだ痛いと叫んでいた。このまま…死なせてくれないの?
傷だらけの身体がいつの間にか無くなっていく。…どうやら、彼が私を見知らぬ所に連れていき治してくれたらしい。
「…どうして、勝手なことをするのですか。」
「どうしてだと?…璃月の民を守るのが我の役割だ。守ってやったのに、お礼の一言もないのか。」
「……私は、頼んでいません。」
「では聞くが、お前がそこまで死 にたいと思うのは何故だ?我には理解出来ぬ。」
「……望まれている人は、皆そう言いますよ。私は…ただの道具にすぎないのですから。」
「…おや、起きたのですね。彼があなたをここに連れてこなければ、危ない状況でしたよ。」
そう言って、緑色の髪をした男性がこちらへやってきた。
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天野アリサ(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます…!前作から見てくださったのですね…!本当に感謝です…!今作も読んで楽しんで頂けたら幸いです! (2022年11月17日 17時) (レス) @page12 id: 08985c907f (このIDを非表示/違反報告)
る - 前作から見ていました!今作も面白いものをありがとうございます! (2022年11月16日 19時) (レス) @page7 id: 1c00c5b49c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いるか | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月14日 12時