【コラボ】学園という名の…【歌い手】 (ページ48)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:13,308 hit

ろん先輩～男主視点～ページ48

ひと里先輩かー
どっちかって言うとろん先輩の方が良かったなんて言うと怒られた

『んで屋上に何か用ですか？』
なるべく傷を見せないように話す

「いや、たまたま通ったからさ」
そうか
でも今出ても強風ですぐ室内に入りたくなる

「それより…」
何か嫌な予感がする
こういう時のひと里先輩は怖い

「フード深くかぶって何かあったな？」
なんでこういう時だけ鋭いんだよ
ナノみたいだ

『……』
何も言えなくなり俯いてしまう

「どした？」
これはひと里先輩の優しさだ
決して無理やりフードを取ろうとしない
ろん先輩よりひと里先輩の方が大人だ

『えっと…』
言葉に詰まってしまった
そして

「…その傷は？」
しまった
ひと里先輩の鋭さはもしかしたらナノ以上かもしれない

『はぁ…かなわないなー』
諦めて全て話した
フードもとった

「本当に短くなったねー」
第一声はそれか

「でもまぁ…無事でよかった無事で」
頭を撫でながら微笑む
ナノみたいな義兄じゃなくてこういう義姉が欲しかった

「んーじゃあろんのとこ行こっか」
なぜそうなる
そうツッコミたかったがやめた
途中生徒会室に寄ったが誰もいなかったため置き手紙だけおいた

・

・

・
―…
「ろんー？入るよ」
そう言ってひと里先輩は入った
俺もそのあとに続いた

一瞬ろん先輩の表情が曇り警戒の目で見てきた
俺は咄嗟にひと里の後ろに隠れた

「ろん…その目はないんじゃない？」
ひと里先輩は気づいたのかろん先輩を睨みつける
チラリと柚子を見る

「なんで？僕は姫歌ちゃんの話を聞いたよ」
まさかあいつろん先輩にも何か話したのか

「だから？」
「ひと里は聞いてないからそんな奴の味方ができるんだよ」
その言葉が突き刺さる

「…もういい、柚子ちゃん」
話を変えようと柚子の方をみる

「あ、はい…」
「ちょっといいかな？」
そう言って部屋からでる

――…
「柚子ちゃんは空のこと信じてる？」
いや、直球すぎだから
信じなくたって別にいいし

「はい」
少しの間があったがしっかりした声で答えた

「そっか」
それだけ聞くとひと里先輩は柚子に何か囁いて行ってしまった

沈黙が続いた…―